志茂田景樹さん(作家)<上>
今回のゲストは作家の志茂田景樹さん。直木賞作家でテレビでも活躍されたが、最近は、童話を書く一方で子どもたちに絵本を読み聞かせる活動に力を入れている。SNSを通じた情報発信にも取り組み、ツイッターのフォロワー数は34万人を超す。77歳となった今も精力的な活動を続ける志茂田さんの世界にようこそ。 (構成・山田稔)
二木 読み聞かせ活動はいつごろから始められたのでしょうか。
志茂田 1996年にKIBA BOOKという出版社を立ち上げたのですが、知名度を上げるため全国各地の書店(地域一番店)でサイン会を始めました。98年の10月、福岡の岩田屋にある書店でサイン会を行ったのですが、隣が玩具売り場だったものですから小さな子どもが多かった。そこで“読み聞かせをやってみようか”と思い立ち、『三匹の子豚』と新美南吉の『赤い蝋燭』を読んだのです。
二木 反応はどうでしたか。
志茂田 最初はざわついていたのが、しばらくするとシーンとなって、2つの物語の世界に入ってきてくれ、いつの間にか語り手と聴き手の間に垣根がなくなり、感動を共有していたのです。帰り際、小学校低学年の子が「感動しました」「また来てね」と言うんですよ。40代の女性は「落ち込んでいたけど元気が出ました」と。読み聞かせには力があると思いましたね。