弁護士・水野祐さん<中>
二木 フェアユースが日本に導入されない問題ですが、その背景には権利者側の反対があるからですか。
水野 新聞社やテレビ局などで構成されている権利者団体が反対していることが大きな障害となっているといわれています。
二木 権利者側からすると、どんどん権利を侵害されてしまう。
水野 権利を少しでも緩める方向にするための議論は、自分たちの食いぶち、権利を弱めるという考え方ですね。
二木 海賊版サイトの「漫画村」をめぐる議論が話題になりました。
水野 「漫画村」がいい存在だとはけっして思いません。ただ、例えば出版社の垣根を越えたより良いサービスをユーザーに提供するとか、フリーに読ませて別の場所で対価を取っていこうとか、新しい市場を形成していこうというタフな戦略も考えられるのに、それを検討もせずに(権利者の方々は検討したうえでやらないことにしたという判断でしょうが)、意固地になっているのではないかと思いますね。私も自分の主張を押し付けたいわけではなく、フラットな議論が重要なことだと思います。