姫田小夏
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姫田小夏ジャーナリスト

上海財経大学公共経済管理学院・行政管理学修士(MPA)。中国ウオッチは25年超、うち約15年を上海で過ごす。アジア・ビズ・フォーラム主宰。日刊ゲンダイでの連載などをもとに「ポストコロナと中国の世界観」(集広舎)。

新規感染者は減少傾向なのに…それでも都市封鎖を続ける習近平の狙い

公開日: 更新日:

 ロックダウンが続く中国・上海だが、奇妙なことが起こっている。5月に入り新規感染者数はみるみる減少に転じているが、検査体制がこれまで以上に厳しくなっているのだ。

 上海の浦西エリアに住む日本人男性はこう明かす。

「5月8日から1日当たりの感染者数は3000人台になりましたが、なぜか10日からPCRと抗原検査を毎日やることになりました」

 この日本人男性が住むマンションでは、これまでPCR検査を週1回のペースで行ってきた。それが毎日になり、しかもPCRと抗原検査の2つを同時に行うようになった。

 いったいこれは何を意味しているのか。

 中国の政治情勢に詳しい在外華僑の記者は「検査を増やすほど感染者数が増える。なんとかして感染者数を増やそうとしているかのような、意図的なものを感じる」と話す。

 感染者が根絶されない限りロックダウンは終わらないとしたら、上海のPCR検査体制をこれまで以上に強化するのは、封鎖状態を継続させるために他ならない。

敵対する長老派閥を北京に行かせない

 封鎖状態を継続することは、誰にとって都合がいいのか。前出の記者はこのロックダウンのターゲットはコロナなどではないとし、次のように話す。

習近平(国家主席)の人事に反対する江沢民派閥や胡錦濤派閥を北京に行かせない、つまり毎年夏に行われる北戴河会議に出席させないための都市封鎖ではないか」

 北戴河会議とは、毎年夏、中国共産党の現役指導者や引退した長老などが河北省の避暑地・北戴河に集まり、党幹部人事などの重要政策を議論する会議だといわれている。今秋開かれる第20回共産党大会で習氏の第3期続投が決まると臆測されているが、人事が正式に確定するのは、それに先立つ北戴河会議ともいわれている。

 上海市の当局は15日、商業施設などの営業を16日から段階的に再開させると発表したが、住民は家から出られるのかどうか。

「北戴河会議が開かれる夏まで幽閉される可能性もゼロではない」(前出の記者)

 浦東に在住する日本人女性はこうつぶやいた。

「刑務所に入っていたら、きっとこんな気分なんでしょう」

 ちなみにこの女性は、3月18日から外の空気を吸っていない。籠城生活はすでに60日を超えた。 =つづく

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