著者のコラム一覧
重道武司経済ジャーナリスト

1957年鳥取県倉吉市生まれ。84年フジサンケイグループ傘下の経済紙「日本工業新聞」(現フジサンケイビジネスアイ)の記者となり、千葉支局を振出しに鉄鋼、自動車、総合電機、財界、金融、エネルギー(電力・石油・ガス)などの業界を担当。2000年外資系通信社に転じた後、02年からフリーに。得意分野は通信社時代を含めて在籍足掛け7年にも及んだ日銀記者クラブ時代に人脈を培った金融。自動車業界にも強い。

ダイワボウHDの繊維事業売却は「英断か」…企業にとって祖業はお荷物なのか?

公開日: 更新日:

 ただ「哀れなほどの低採算」(ダイワボウHD関係者)で、売上高営業利益率はわずか2.2%ほど。ダイワボウとしてはこれ以上大和紡績に投資を続けても「回収できるだけの成長は見込めない」と見切ったのだろう。

 大和紡績の企業価値を示す純資産の残高は今年3月末で325億円。株式の85%を売り渡すのであれば、本来なら単純計算では276億円程度の譲渡収入が見込めることになる。しかし今回、そこから7割近くも安い「ダンピング価格」(金融筋)で放出する。

 このためダイワボウは24年3月期決算で約170億円の株売却損を特別損失として計上。当初204億円としてきた純利益計画は前期比6割以上マイナスの71億円にまで下振れする。「損失を出しても売りたかった」というわけか。もっとも金融筋の一部からは「どうせなら全株売却すべき。取引先などとの関係を踏まえて保有株15%を手元に残したとしているが、画竜点睛を欠く」との見方も出ているらしい。

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