著者のコラム一覧
小林佳樹金融ジャーナリスト

銀行・証券・保険業界などの金融界を40年近く取材するベテラン記者。政界・官界・民間企業のトライアングルを取材の基盤にしている。神出鬼没が身上で、親密な政治家からは「服部半蔵」と呼ばれている。本人はアカデミックな「マクロ経済」を論じたいのだが、周囲から期待されているのはディープな「裏話」であることに悩んで40年が経過してしまった。アナリスト崩れである。

麻布台ヒルズが華々しくオープンしたのに…森ビルの財務は窮地の謎解き

公開日: 更新日:

23年3月期の長期借入は1兆2570億円

 また、完成までに17年もの年月を要した「六本木ヒルズ」は日本でも有数の高層ビルで、隣接する「六本木ヒルズレジデンス」「ゲートタワーレジデンス」、ホテル「グランドハイアット東京」などを含めて巨大な都市開発と商圏の開拓に成功している。

 2017年4月には「GINZA SIX」、20年6月には「虎ノ門ヒルズビジネスタワー」をそれぞれ開業。インドネシアでも超高層ビルを建設するなど、国内で培ったノウハウを海外にも展開している。

 その一方で、森ビルの23年3月期の長期借入は1兆2570億円に膨れ上がっている。これに短期借入の909億円、社債発行残高の2539億円を加えた有利子負債総額は1兆6020億円に達する。また、企業が自由に使えるフリーキャッシュフローは、21年3月期がマイナス543億3100万円、22年3月期がマイナス560億200万円、23年3月期がマイナス1885億8200万円と、急速にマイナス幅が拡大している。

 24年3月期の通期連結業績は増益を見込むが、足元の財務に黄色信号がともっていることは確かだ。

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    立花孝志容疑者を"担ぎ出した"とやり玉に…中田敦彦、ホリエモン、太田光のスタンスと逃げ腰に批判殺到

  2. 2

    阪神・佐藤輝明にライバル球団は戦々恐々…甲子園でのGG初受賞にこれだけの価値

  3. 3

    FNS歌謡祭“アイドルフェス化”の是非…FRUITS ZIPPER、CANDY TUNE登場も「特別感」はナゼなくなった?

  4. 4

    阪神異例人事「和田元監督がヘッド就任」の舞台裏…藤川監督はコーチ陣に不満を募らせていた

  5. 5

    新米売れず、ささやかれる年末の米価暴落…コメ卸最大手トップが異例言及の波紋

  1. 6

    兵庫県・斎藤元彦知事らを待ち受ける検察審の壁…嫌疑不十分で不起訴も「一件落着」にはまだ早い

  2. 7

    カズレーザーは埼玉県立熊谷高校、二階堂ふみは都立八潮高校からそれぞれ同志社と慶応に進学

  3. 8

    日本の刑事裁判では被告人の尊厳が守られていない

  4. 9

    1試合で「勝利」と「セーブ」を同時達成 プロ野球でたった1度きり、永遠に破られない怪記録

  5. 10

    加速する「黒字リストラ」…早期・希望退職6年ぶり高水準、人手不足でも関係なし