自社株買いは「割安株」のシグナル 企業の位置づけが「株主還元策」から「投資の一形態」に

公開日: 更新日:

 日本企業の自社株買いが増加しているが、その目的もいま大きく変わろうとしている。

 言うまでもなく、自社株買いは市場から自社株を直接買い戻すこと。それを消却することによって1株あたりの価値が高まるから、自社株買いは株主還元策であると位置づけられてきた。

 ところが最近は、事業投資やM&Aと同じように「投資の一形態」とみなす企業が増えているのだ。例えば、日立製作所は資産売却で得た資金の使途を決める際、成長投資と自社株買いのどちらが投下資本利益率の改善効果が大きいかを比較する。またソニーグループは2027年3月期までの中期経営計画で、M&Aなどの戦略投資枠1.8兆円の対象に「機動的な自社株買い」を含めた。

「株主のため」だった自社株買いが、「自社のため」に変貌しつつあるのだ。

 こうした動きは米国では早くから積極的で、主だった企業が自社株買いをするのは当たり前になっている。

 米国のアップルは24年5月、米史上最大規模となる1100億ドル(約17兆円)の自社株買い計画を発表。これによって同社の10年間の自社株買いは総額6600億ドル、約80兆円にも達している。これが同社の時価総額が史上初めて3兆ドルを突破する原動力となった。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    侍ジャパンに日韓戦への出場辞退相次ぐワケ…「今後さらに増える」の見立てまで

  2. 2

    大谷翔平は米国人から嫌われている?メディアに続き選手間投票でもMVP落選の謎解き

  3. 3

    阪神の日本シリーズ敗退は藤川監督の“自滅”だった…自軍にまで「情報隠し」で選手負担激増の本末転倒

  4. 4

    “新コメ大臣”鈴木憲和農相が早くも大炎上! 37万トン減産決定で生産者と消費者の分断加速

  5. 5

    侍J井端監督が仕掛ける巨人・岡本和真への「恩の取り立て」…メジャー組でも“代表選出”の深謀遠慮

  1. 6

    巨人が助っ人左腕ケイ争奪戦に殴り込み…メジャー含む“四つ巴”のマネーゲーム勃発へ

  2. 7

    藤川阪神で加速する恐怖政治…2コーチの退団、異動は“ケンカ別れ”だった

  3. 8

    支持率8割超でも選挙に勝てない「高市バブル」の落とし穴…保守王国の首長選で大差ボロ負けの異常事態

  4. 9

    大谷翔平の来春WBC「二刀流封印」に現実味…ドジャース首脳陣が危機感募らすワールドシリーズの深刻疲労

  5. 10

    和田アキ子が明かした「57年間給料制」の内訳と若手タレントたちが仰天した“特別待遇”列伝