中部空港めぐる国交省と採石業者の「官製談合」の裏側…巨額予算69億円消化のプレッシャー

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 中部空港の土砂埋め立て工事を巡る談合事件で、当事者の国交省と採石業者のやりとりが謎を深めている。69億円もの巨額官製談合事件の裏で何があったのか。

 愛知県警は2023年1月、埋め立て工事の入札情報を漏らしたなどとして、国交省中部地方整備局名古屋港湾事務所の元所長藤田亨容疑者と採石業者「丸昇石材」(三重県尾鷲市)元会長・小倉章弘容疑者を官製談合防止法違反などの容疑で逮捕、起訴した。その後の裁判で、小倉元会長の有罪は確定した一方、元所長は現在も争っている。

 有罪確定を受け、国交省は今年2月10日、丸昇石材に違約金7億5900万円を請求した。ところが同社は同日、「国は何ら損害も発生していない」といったんは徹底的に戦う姿勢を見せながら、結局は違約金を支払うという不可解な対応で落ち着いた。

 そもそもこの官製談合は謎だらけだ。「一つの業者があれほど優遇された入札は見たことがない」と中部地方のゼネコン関係者も話す。

 中身を振り返ってみたい。中部地方整備局は21年2月、埋め立て工事に必要な100万立方メートルもの膨大な石材を調達する一般競争入札を2回実施。その入札に際し、藤田元所長は予定価格の作成に使用した石材単価に近い数値を小倉元会長に伝え、小倉元会長はそのデータを基に調べた価格で落札したとされる。応札したのは2回とも丸昇石材のみで、予定価格に対する落札率はともに95.1%だ。落札価格は2件合わせて69億円に上る。

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