著者のコラム一覧
森岡英樹経済ジャーナリスト

1957年生まれ。早稲田大学卒業後、 経済記者となる。1997年、米コンサルタント会社「グリニッチ・ アソシエイト」のシニア・リサーチ・アソシエイト。並びに「パラゲイト ・コンサルタンツ」シニア・アドバイザーを兼任。2004年にジャーナリストとして独立。

問われる商工中金の存在意義…2回の入札不発で完全民営に暗雲

公開日: 更新日:

 商工組合中央金庫(商工中金)の完全民営化が不透明になっている。政府は保有する商工中金の株式46.5%(10億1600万株)を今年6月までに売却する予定で、過去2回にわたり入札を行ったが、「昨年7月の落札率は13%、今年1月の落札率は3%と散々な結果」(銀行関係者)というのだ。

 とくに、2回目の入札では、商工中金自身も入札に参加したものの、価格が折り合わず落札できなかった。政府は3月以降、速やかに3度目の入札を行い、6月の完全民営化に間に合わせたい考えだが……。

 商工中金は主に中小企業に貸し付けを行う政府系金融機関。1936年に設立され、株式は政府が46.5%、中小企業組合と中小企業が53%、残りの0.5%を商工中金が保有している。この政府保有分を売却し、その売却益を次世代半導体の研究開発や量産投資への補助などに充てる計画となっている。

 入札が低調な背景にはいくつかの問題が指摘されている。まず入札参加者の資格制限だ。「入札に参加できるのは中小企業や中小企業組合、中小企業団体などに限られている」(関係者)という。だが、「正直、頼まれて最低限のお付き合いとして買った」(中小企業経営者)という声が絶えない。投資妙味に乏しいのだ。「配当利回りも低く、流動性が低く売りたい時に売れないリスクもある」(同)というのだ。落札率が低いのもいたしかたない。

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • トピックスのアクセスランキング

  1. 1

    トランプ大統領が熱烈支持層と対立のナゼ? エプスタイン事件めぐりMAGA派を「愚かな人々」呼ばわり

  2. 2

    外国人の「日本ブーム」は一巡と専門家 インバウンド需要に陰り…数々のデータではっきり

  3. 3

    リゾート開発計画に揺れる野沢温泉村の村長に聞いた「ニセコでも白馬でもない独自文化の根付く唯一無二の村をつくる」

  4. 4

    新型ダイハツ ムーヴに初試乗! スライドドア化は是か非か? 王者ホンダN-BOXと比べてみた

  5. 5

    「エムット」の商標巡り“ニアミス”騒動も…三菱UFJ銀はポイント還元率最大20%ブチ上げ預金獲得強化へ

  1. 6

    元安倍派・豊田真由子氏が「羽鳥慎一モーニングショー」で暴露!“パー券販売”の驚愕実態にSNS震撼

  2. 7

    賃上げ、人手不足、トランプ関税の“トリプルパンチ”で倒産ラッシュが加速…年間1万件突破も視野に

  3. 8

    米中がしのぎを削る最先端分野の開発競争…日本はカヤの外か?

  4. 9

    安倍元首相の“腹心の友”が白旗…加計学園「千葉科学大」経営行き詰まり公立化要望の無責任

  5. 10

    「8月の円高・株安」と「9月の米国株下落」…2つのアノマリーは本当なのか

もっと見る

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    日本中学生新聞が見た参院選 「参政党は『ネオナチ政党』。取材拒否されたけど注視していきます」

  2. 2

    俺が監督になったら茶髪とヒゲを「禁止」したい根拠…立浪和義のやり方には思うところもある

  3. 3

    上野樹里“ガン無視動画”にネット騒然! 夫・和田唱との笑顔ツーショットの裏のリアルな夫婦仲

  4. 4

    巨人・阿部監督に心境の変化「岡本和真とまた来季」…主砲のメジャー挑戦可否がチーム内外で注目集める

  5. 5

    松下洸平結婚で「母の異変」の報告続出!「大号泣」に「家事をする気力消失」まで

  1. 6

    松本潤&井上真央の"ワイプ共演"が話題…結婚説と破局説が20年燻り続けた背景と後輩カップルたち

  2. 7

    “死球の恐怖”藤浪晋太郎のDeNA入りにセ5球団が戦々恐々…「打者にストレス。パに行ってほしかった」

  3. 8

    参政党トンデモ言説「行き過ぎた男女共同参画」はやはり非科学的 専業主婦は「むしろ少子化を加速させる」と識者バッサリ

  4. 9

    松本潤「19番目のカルテ」の評価で浮き彫りに…「嵐」解散後のビミョーすぎる立ち位置

  5. 10

    巨人エース戸郷翔征の不振を招いた“真犯人”の実名…評論家のOB元投手コーチがバッサリ