小林節
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小林節慶応大名誉教授

1949年生まれ。都立新宿高を経て慶大法学部卒。法学博士、弁護士。米ハーバード大法科大学院のロ客員研究員などを経て慶大教授。現在は名誉教授。「朝まで生テレビ!」などに出演。憲法、英米法の論客として知られる。14年の安保関連法制の国会審議の際、衆院憲法調査査会で「集団的自衛権の行使は違憲」と発言し、その後の国民的な反対運動の象徴的存在となる。「白熱講義! 日本国憲法改正」など著書多数。新著は竹田恒泰氏との共著「憲法の真髄」(ベスト新著)

<第3回>正義はどちらにあるかは明々白々だ

公開日:  更新日:

 戦争法が違憲だ……という私たちの指摘に対して、戦争法に賛成する人々から、しばしば、「憲法を守って国が滅んでも構わないのか?」という反論が返ってくる。

「安全保障環境の激変」(つまり、中国と北朝鮮からの軍事的脅威の切迫化)という現実を前にして、米国との軍事同盟の強化が憲法に違反しているからといって、防衛努力を怠ったり、あるいは、正攻法でまず改憲の手続きから着手していたら、その間に国が軍事侵略されて滅んでしまうが、それで良いのか? という主張である。

 要するに、風雲急を告げる状況にあるから、憲法など守っている余裕はない……という主張である。実に乱暴である。

 しかし、冷静に事実を確認してみれば、この主張に根拠がないことは明白である。

 中国が過去に侵略に成功した相手は、内モンゴル、ウイグル、チベットといった事実上の非武装地域だけで、台湾、ベトナム(つまり日本も)といった「専守防衛」に徹している国には手が出せていない。しかも、日中米3国は経済的に既に深く依存し合っており、戦争をしたら一緒に国力が急落してしまう関係にある。だから、中国は、国内統制の必要と太平洋に対する野心から、歴史的・法的に全く根拠のない尖閣諸島の領有権を主張してはいるが、だからといって、専守防衛に徹してきた日本国の領土の一部を軍事侵略して無事に済む成算など立っていない。

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