立岩陽一郎
著者のコラム一覧
立岩陽一郎ジャーナリスト

NPOメディア「InFact」編集長、大阪芸大短期大学部客員教授。NHKでテヘラン特派員、社会部記者、国際放送局デスクなどを経て現職。日刊ゲンダイ本紙コラムを書籍化した「ファクトチェック・ニッポン 安倍政権の7年8カ月を風化させない真実」発売中。毎日放送「よんチャンTV」、フジテレビ「めざまし8」に出演中。

性的虐待の父親無罪で考える 筆者中学生時代の屈辱と悪夢

公開日: 更新日:

 今も忘れることのできない少年のころの記憶。その嫌悪感と屈辱感に吐き気をもよおすことが今もある。それは中学生の時。私は姉と週末の日中に井の頭線に乗っていた。さほど混んでもいない車内で私はドア付近で窓の外を見ていた。すると、いきなりズボンの中に何かが入ってきた。そして、それは不自然に動いて私の肛門付近をまさぐっている。それが人の手であることは把握できたものの、驚きと怖さ、そして羞恥心とで、体も頭も動かない。その状態がどれだけ続いたのかさえ、わからない。背中越しにいる相手を見ることさえできない。

「やめなさい」

 高校生の姉のその一言で、手は私のズボンから出て行った。私はやっとの思いでその男の顔を見たが、しっかりと見ることはできなかった。男は去っていった。

 3月26日に名古屋地裁岡崎支部の出した判決を知って、その時の井の頭線での悪夢がいつもより鮮明に思い出された。判決は、長年にわたって性的虐待を加えていて準強制性交の罪に問われた父親を無罪とした。その判決文を確認した伊藤和子弁護士によると、被害者の女性は中学2年の時から継続して父親から性的虐待を受けていたということで、裁判になったのは2017年8月と9月に父親から意に沿わない性交をされたものだったという。父親が問われたのは準強制性交罪。判決では、意に反する性行為だったことや、暴行などによって父親が支配的な立場にあったこと、つまり心理的に抵抗できない状況がつくり出されていたことを認めたという。それでも、判決は、父親を無罪とした。

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

最新の政治・社会記事

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1
    元フジ久慈アナ NBA渡辺選手との“電撃婚約”発表に「大谷翔平じゃないの?」の声

    元フジ久慈アナ NBA渡辺選手との“電撃婚約”発表に「大谷翔平じゃないの?」の声

  2. 2
    ロ軍入隊事務所「放火多発」の異常事態!プーチン大統領は国民世論と主戦論の板挟み状態

    ロ軍入隊事務所「放火多発」の異常事態!プーチン大統領は国民世論と主戦論の板挟み状態

  3. 3
    知床観光船“引き揚げ失敗”のお粗末 海上保安本部に聞いた「4つの疑問」

    知床観光船“引き揚げ失敗”のお粗末 海上保安本部に聞いた「4つの疑問」

  4. 4
    「ちむどんどん」ご都合主義のストーリー連発! 視聴者は戸惑いの「まさかや~」大合唱

    「ちむどんどん」ご都合主義のストーリー連発! 視聴者は戸惑いの「まさかや~」大合唱

  5. 5
    ライオンが職員の指をガブリっ! ジャマイカの動物園での衝撃映像が話題

    ライオンが職員の指をガブリっ! ジャマイカの動物園での衝撃映像が話題

もっと見る

  1. 6
    「拳銃の不法所持で逮捕」の投稿がバカ受け! 米NY州の男が持っていたのは…

    「拳銃の不法所持で逮捕」の投稿がバカ受け! 米NY州の男が持っていたのは…

  2. 7
    メジャースカウトの狙いはキューバ勢!千賀やマー君より気になる外国人選手の名前

    メジャースカウトの狙いはキューバ勢!千賀やマー君より気になる外国人選手の名前

  3. 8
    “血統書付き”の側近ナルイシキン長官 ピョートル大帝の血を引くとも

    “血統書付き”の側近ナルイシキン長官 ピョートル大帝の血を引くとも

  4. 9
    松本若菜「やんごとなき一族」の“美保子リサイタル”が話題 30代遅咲き「松本まりか」との差

    松本若菜「やんごとなき一族」の“美保子リサイタル”が話題 30代遅咲き「松本まりか」との差

  5. 10
    城田優“ガーシー砲”スルー決め込みはもう限界? スケジュール続々発表で直接釈明は不可避

    城田優“ガーシー砲”スルー決め込みはもう限界? スケジュール続々発表で直接釈明は不可避