専門家も指摘 千葉・台風被害の迅速復旧を妨げる行政怠慢
台風15号の深刻な爪痕が残る千葉県。市原市では、ゴルフ練習場の鉄柱が強風でなぎ倒され、近隣の住宅に直撃した大事故に注目が集まっている。屋根などがボロボロに損傷した住宅の補修費用はどうなるのか、鉄柱の撤去費用は誰が負担するのか。不安は尽きないが、深刻なのは現場がいまだに“手つかず状態”のまま放置されていることだ。
〈この会社クソだな〉〈開き直った〉――。鉄柱が倒壊した「市原ゴルフガーデン」に対し、ネット上ではこんな批判が渦巻いている。ゴルフガーデンは事故当初、被害に遭った住民らに謝罪し、住宅補修費用などの補償を行う意向を示していたが、それから数日後、一転して弁護士を介し「被災者の火災保険で直して下さい」と伝えてきたからだ。
その火災保険も、保険会社がスンナリと認めるかは不透明だ。ゴルフガーデンは、台風上陸の前に風の影響を受けやすい「ネット」を下ろさなかった。さらに、メンテナンス不足だったのか、鉄柱とコンクリートの基礎部分を固定するボルトが複数箇所で破損。現場を視察した建築エコノミストの森山高至氏によると、「鉄柱の基礎が杭に連結していない恐れがある」という。強風対策が不足していたのであれば、ゴルフガーデンが責任を免れるのは難しい。つまり、火災保険は適用されない可能性があるのだ。