米国のISバグダディ殺害によって高まる東京五輪テロ危機
トランプ大統領は10月27日、ISの最高指導者バグダディ容疑者が米軍の攻撃によって死亡したことを明らかにしたが、これを受けてISは10月31日に「アブイブラヒム・ハシミ・クライシ(アブー・イブラーヒーム・アル・ハーシミー・クライシー)」という従来あまり知られることがなかった人物を後継の指導者に選出したと発表した。「クライシ」は、イスラムの開祖である預言者ムハンマドを輩出したメッカ(マッカ)の名門一族の名称であり、新しい指導者を宗教的に権威づけるためにつけられたのかもしれない。
11月2日、シナイ半島で活動する「ISシナイ州」が、また翌日にはバングラデシュやソマリアのISが新指導者に忠誠を誓うようになった。バグダディ容疑者が殺害されて米国への報復はISの活動の視野に当然あることだろう。トランプ大統領は、バグダディ容疑者の死によって世界は安全になったと語ったが、米国人の安全にとって彼の殺害は逆効果で、その意図されるテロが米国本土を狙うものなのか、あるいは米国以外の国や地域の米関連施設や、米国人に対して向けられるのかは予測できないが、過激派はこれまで衝撃的な場所や機会をとらえてテロを起こしてきた。