まるで殿と代官と悪徳商人…政権と官僚の正しい関係どこへ
政治という職業があまりにも「おいしい」ためか、それを「家業」にして世襲し、特権階級化した与党議員たちとそれに封建時代の家臣のように隷従する官僚たち。この関係が、今のわが国を、権力者に近いか否かで国家の国民に対する扱いが異なる、まるで中世の王国のようにしてしまった諸悪の根源である。
民主的法治国家における政権と官僚の関係は、本来、次のものである。まず、選挙で主権者国民から負託された議員たちは、国民生活を向上させるために、国会で議論を重ねた上で法律と予算を成立させる。それを受けて、行政庁(官僚たち)は、全国「一律に」公平に法律と予算を執行し、国民生活を維持発展させていく。
その執行過程で新しい課題を発見したら、行政は、その改善策を内閣を通して国会に提案する。それを受けて、国会は必要に応じて法律を修正し予算を補正する。これを繰り返しながら私たちの国家生活が発展していくことが議院内閣制に期待されているのである。
ところが、今のわが国では、政治権力者に近ければ、「輸出奨励」などと口実を立てて、儲かっている大企業が減税を享受でき、教授陣も図書も充足していない大学が公的助成を受けて学部を新設することができ、首相の選挙区の市議の推薦を受けただけで何の「功績」もない者が首相主催の桜を見る会で国費で接待を受けることができる。まるで江戸時代劇の「殿と代官と悪徳商人」を見ているようで胸が悪くなる。