国内で最上位の権威性 天皇の地位は「公人」中の公人だ
天皇の肖像を燃やすパフォーマンスは、私には単に「くだらない」行為にしか見えない。だが、それを「けしからん」と怒る人がいることも理解できる。
しかし、不敬罪が廃止された現在のわが国で、自己が所有する天皇の肖像を毀損した者に法的責任を追及することはできないだろう。
もちろん、名誉毀損として天皇ご本人または相続人が原告となって民事で損害賠償を訴求することも、検察官が公訴を提起することも、理論上は考えられる。しかし、それはそれで何か「らしくない」のも事実であるし、現に行われていない。
天皇は日本国の「象徴」である。その機能は日の丸と同じである。天皇には、権力は託されてはいないが、国内で最上位の権威性が与えられており、その地位は公人である。
国の象徴である以上、天皇は、「日本国」が話題となった時に日本国を代表する者として持ち出され、その肖像が壇上に飾られたり、逆に路上でデモ隊に踏みつけられたりもする。それが、不敬罪の存在しない国における象徴の普通の扱われ方である。