司忍組長を光らせることで組織を強くする 髙山若頭の狙い
司6代目の忠臣として仕える髙山清司若頭は、「陰の立役者」という黒子を自任しているかに見える。例えて言えば、新選組の近藤勇局長を奉じた土方歳三のような同志的結合だろうか。
その同志的な絆は、髙山若頭が組の方針を出す時、司6代目とは必ず2人きりで会談するという逸話からもうかがえる。その紐帯はいかにして結ばれたのか。
かつて司6代目が反山口組系の独立組織が割拠する名古屋市中村区に進出し、暴れまわっていた当時を知る人物が明かす。
「柳川組、一心会系の兄弟分と昨日は錦三、今日は栄と、毎夜ネオン街に繰り出しては喧嘩に明け暮れ、『中村に司あり』と売り出した。当時から細身の着流し姿で見栄えがいい。スナックで暴れるゴジャモンがいたら飛んで行って成敗しよった。カタギに人気があった」
司6代目と髙山若頭が知り合ったのは、まだ2人とも20代だった頃だ。高校中退後、賭場に出入りしていた髙山若頭が縁あって渡世入りしたのは、弘道会の前身、弘田組内の佐々木組だったが、佐々木組の親分に忠義を尽くす髙山若頭の姿に、司6代目が惚れ込んだとされる。