非常事態を宣言するのは安倍政権に権限を委ねている市民だ
「戦争の最初の犠牲者は事実だった」とは、第1次世界大戦を評したアメリカの政治家の言葉でジャーナリズムで繰り返し使われる言葉だ。安倍政権の新型コロナウイルスへの対策を見ていて、それを思い出した。
クルーズ船への対応で、専門家の指摘を受けても乗客を下船させて対応することを拒否し続けた。船内で感染者と非感染者の接触を絶つのは困難だとの指摘を無視し、その結果が船内からの感染者の急増だった。それは有効な水際対策だったのか? その対策の検証はない。そして、中国、韓国からの入国制限。これも水際対策だという。この判断を評価する識者が多く、批判と言えば、「遅きに失した」というものだ。しかし、WHOは、「政治的な判断」でしかないとして、ウイルス対策には「なんの役にも立たない」と指摘している。韓国は反発し事実上の対抗策に踏み切る。国際的な協調が必要な時期に対立をあおる愚策だとは、韓国に指摘される話ではない。日本国内から指摘しないといけない。
■「事実」が既に犠牲になっている
そして今、「緊急事態宣言」を盛り込んだ対策措置法の制定が急がれている。これは新型インフルエンザ対策特措法の改正によって進めるという。この法律は民主党政権下で成立したものだ。このため、立憲民主党の中でも反対しにくい雰囲気になっているという。