つくづく酷い国にした自民党 GDPは陥落、政治家はボロ儲け、国民には骨までしゃぶるインボイス

公開日: 更新日:

「裏金を何に使ったのかがうやむやで、ごまかしているように感じる」

「企業で同じことをしたら当然処罰される。野放しは許されない」

 16日から始まった2023年分の所得税の確定申告。税務署を訪れた納税者が、共同通信の取材にこうした批判を口にしたという。この先も、自民党の派閥パーティー裏金事件に対する怨嗟の声が、全国の税務署で鳴り響くことだろう。

 そりゃ、そうだ。昨年10月にインボイス制度が導入され、これまで以上に庶民はきっちり消費税分を申告しなければならない。煩雑な手間がかかるうえ、免税事業者から課税事業者に転換した個人事業主や零細企業にとっては負担増だ。

 一方、政治家はユルユル。一昨日、自民党が政治資金収支報告書に不記載があった議員らへの聞き取り調査の結果を公表したが、その内容は酷いものだった。

 数百万、数千万円単位の裏金を事務所の金庫や鍵のかかった引き出しに保管しておきながら、「派閥事務局から記載不要との説明を受けた」「記載しないよう指示があった」など言い訳のオンパレード。使途も「会合費」「事務費」「小口現金」などと羅列してあるだけで具体的ではない。そのくせ、全て政治資金として使ったと強弁して「課税逃れ」に走る。そのうえ匿名だ。

 堂々と表に出てきて説明責任を果たせない国会議員って一体、何なんだ。有権者の代表という「選良」の矜持はないのか。立憲民主党議員が「国民は増税、政治家は脱税」と本会議場で訴えていたが、その通り。これほどふざけた国もない。

■いびつすぎる日本の風景

 16日の東京株式市場は、バブル経済最盛期の1989年末につけた終値の史上最高値(3万8915円)まであと50円に迫る場面があり、沸きに沸いた。週明けも史上最高値更新に注目が集まるのだろう。もっとも、刹那の株価上昇に浮かれている連中もいるが、フツーの庶民はシラケている。

 日銀の最新(昨年12月調査)の「生活意識に関するアンケート調査」によれば、現在の暮らし向きについて「ゆとりがなくなってきた」が56.2%と半数を超えている。21カ月続く実質賃金のマイナスで分かるように、庶民は物価高に翻弄され、節約志向がクッキリだ。今月6日に総務省が発表した23年の家計調査によると消費支出は3年ぶりに前年を下回った。中でも、支出の3割を占める食料は前年比2.2%減。安い鶏肉の購入額が過去最高を記録しているというのだから、実に切ない。かたやバブル期超え間近の株高、こなた食費を切り詰める生活苦。日本の風景は、いびつすぎやしないか。

 23年の名目GDP(国内総生産)で、日本の4位転落が内閣府から正式に発表され、国力低下を日本中が思い知らされた。数年後にはインドにも抜かれるとみられている。

 ドル建て換算の結果だから、もちろん超円安の影響が大きいが、輸入物価高に庶民生活が蝕まれるほどの「安いニッポン」を招いたのは誰の責任か。いまだ続く、アベノミクスの異次元緩和のせいじゃないのか。

 経済評論家の斎藤満氏が言う。

「名目GDPで4位転落という日本経済沈滞が、アベクロ(安倍元首相と黒田前日銀総裁)の金融政策の結果だというのは間違いない。見せかけだけの成果を求め、ごまかしの金融政策で円安に誘導し、それにあぐらをかいた輸出企業は競争力が落ちていった。一方で、日本株は割安だと株や不動産だけがどんどん高騰し、日本経済の実態と乖離した状況になっています。国内消費がこれほど弱いのなら、普通は株価が下がるものです。史上最高値をうかがうとは、歪んだ形の株高としか言いようがありません」

■関連キーワード

最新の政治・社会記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • 政治のアクセスランキング

  1. 1

    これぞ維新クオリティー!「定数削減法案」絶望的で党は“錯乱状態”…チンピラ度も増し増し

  2. 2

    やはり進次郎氏は「防衛相」不適格…レーダー照射めぐる中国との反論合戦に「プロ意識欠如」と識者バッサリ

  3. 3

    「日中戦争」5割弱が賛成 共同通信世論調査に心底、仰天…タガが外れた国の命運

  4. 4

    「おこめ券」に続き“やってる感”丸出し…鈴木農相がひっそり進めるもう一つの肝いり政策

  5. 5

    高市政権「調整役」不在でお手上げ状態…国会会期末迫るも法案審議グダグダの異例展開

  1. 6

    「おこめ券」迫られる軌道修正…自治体首長から強烈批判、鈴木農相の地元山形も「NO」突き付け

  2. 7

    「台湾有事」発言から1カ月、中国軍機が空自機にレーダー照射…高市首相の“場当たり”に外交・防衛官僚が苦悶

  3. 8

    維新が手にする血税は33億円…定数削減へチンピラまがいの圧力、税金原資にキャバクラ&ショーパブ代支出の疑い

  4. 9

    レーダー照射で日中対立激化…習近平指導部による「高市威圧」次のシグナル

  5. 10

    高市首相の台湾有事発言は意図的だった? 元経産官僚が1年以上前に指摘「恐ろしい予言」がSNSで話題

もっと見る

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    やはり進次郎氏は「防衛相」不適格…レーダー照射めぐる中国との反論合戦に「プロ意識欠如」と識者バッサリ

  2. 2

    長嶋茂雄引退の丸1年後、「日本一有名な10文字」が湘南で誕生した

  3. 3

    契約最終年の阿部巨人に大重圧…至上命令のV奪回は「ミスターのために」、松井秀喜監督誕生が既成事実化

  4. 4

    これぞ維新クオリティー!「定数削減法案」絶望的で党は“錯乱状態”…チンピラ度も増し増し

  5. 5

    ドジャースが村上宗隆獲得へ前のめりか? 大谷翔平が「日本人選手が増えるかも」と意味深発言

  1. 6

    「日中戦争」5割弱が賛成 共同通信世論調査に心底、仰天…タガが外れた国の命運

  2. 7

    レーダー照射問題で中国メディアが公開した音声データ「事前に海自に訓練通知」に広がる波紋

  3. 8

    岡山天音「ひらやすみ」ロス続出!もう1人の人気者《樹木希林さん最後の愛弟子》も大ブレーク

  4. 9

    松岡昌宏も日テレに"反撃"…すでに元TOKIO不在の『ザ!鉄腕!DASH!!』がそれでも番組を打ち切れなかった事情

  5. 10

    巨人が現役ドラフトで獲得「剛腕左腕」松浦慶斗の強みと弱み…他球団編成担当は「魔改造次第」