米大統領選テレビ討論会でバイデン高齢不安直撃…民主党「指名撤退」はあるのか?

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 米大統領選をめぐる動きが風雲急を告げている。

 6月27日に行われた民主党のバイデン大統領(81)と共和党のトランプ前大統領(78)のテレビ討論会で、バイデンは声がかすれ、言葉に詰まる場面があり、心配されてきた高齢不安が直撃。来月にも民主党の大統領候補に正式指名というこのタイミングで「撤退論」が渦巻いてきたのだ。

 討論会直後のCNNの世論調査では、67%がトランプ勝利と回答。前回の大統領選でバイデン支持だったNYタイムズは「撤退すべきだ」との社説を掲載した。こうした中、バイデンは討論会翌日の選挙集会で撤退論を否定。討論会とは打って変わった気迫で、「私はこの選挙に勝利するつもりだ」と聴衆に訴えた。ただ民主党内はパニック状態だというし、米メディアの報道は「バイデン万事休す」に見えなくもない。

 バイデンはすでに民主党の候補者として大半の代議員を獲得し、指名が確定している。別の人物に交代するには、バイデンが自ら降板を決断しなければならない。バイデン撤退はあるのか。

「現時点では米国の世論は動いていません。実際、討論会でのバイデン氏は史上最低のパフォーマンスでしたが、一方でトランプ氏も大ウソを連発し、別の次元で史上最低。異種格闘技戦のような討論会だったので、時間を置いて世論も冷静になってきた。ただ、この先のメディア報道がどうなるか。バイデンに撤退させたい人、させたくない人が意図をもって情報戦を繰り広げています。これから1、2週間で世論が大きく動くのかどうか」(上智大教授・前嶋和弘氏=現代米国政治)

■「ほぼトラ」は時期尚早

 バイデンが撤退した場合の民主党の候補者として、ハリス副大統領(59)、カリフォルニア州のニューサム知事(56)、ミシガン州のホイットマー知事(52)、ペンシルベニア州のシャピロ知事(51)、オカシオコルテス下院議員(34)らの名前が挙がっている。8月19~22日に予定されている民主党大会が正式指名の場。バイデン交代なら、ここで1人に決まるまで投票を続け、新たな候補を選ぶことになる。

 もっとも、現実には交代は簡単ではない。例えば、オハイオ州だけは州法で8月7日までに大統領候補が決まっていなければならず、民主党大会前にオンラインでバイデンに決定することになっている。しかし、バイデンの代わりを党大会であらためて選ぶとなると、「じゃあオハイオはどうなるの」という問題も浮上するという。

 大騒ぎの末、結局、バイデンVSトランプのままなら、いよいよトランプ再選が現実になるのか。

「いえ、『ほぼトラ』(ほぼトランプが当選)は時期尚早です。国が真っ二つに分断されている米国では、民主党候補がバイデン氏だろうが他に代わろうが、トランプ氏との勝負は僅差になるので、どちらが勝つかは分かりません」(前嶋和弘氏)

 11月の本選挙まであと4カ月。まだいろいろありそうだ。

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