著者のコラム一覧
保阪正康作家

1939年、北海道生まれ。同志社大卒。編集者を経て「死なう団事件」でデビュー。「昭和天皇」など著書多数。2004年、一連の昭和史研究で菊池寛賞。本連載「日本史 縦横無尽」が『「裏切りの近現代史」で読み解く 歴史が暗転するとき』(講談社)として好評発売中。

シリーズ「昭和の亡霊・7つの戦時用語」(78)「天皇を免責するためには、あなたの証言が重要である。自殺はしないように」(下村定陸相)

公開日: 更新日:
下村定陸軍大臣(C)共同通信社

 銃声に対してMPの兵士たちも銃を乱射した。玄関の扉が壊され、兵士たちは東條家の応接間に入り込んだ。そこに映ったのは、応接間のソファに座り、首を垂れている東條英機の姿であった。日本人記者がすばやく部屋に入り、東條の口元に耳をあてた。東條は何事かを口にしていたからである。東條の胸は… 

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