【六川亨氏特別寄稿】ハリルホジッチ監督招聘の内幕

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 日本代表は13日、イランで行われるロシアW杯アジア最終予選イラク戦に臨む(日本時間午後9時25分キックオフ)。イラクに勝てばロシアへの視界が大きく開けることになる。

 昨年末まで日本サッカー協会(JFA)技術委員会の委員長を務めていた霜田正浩氏は「現在の日本代表はハリルホジッチ監督の意図や狙いが浸透し、誰がプレーしても多種多様の戦い方ができるチームになってきました。選手同士の競争が成長を加速させて、ついに《成熟に向けてのステップ》の段階に突入したと思います」と話す。 

 日本代表は現在、成長過程の「第3クールに突入した」と考えている霜田氏は技術委員長に就任した2014年9月、ロシアW杯本大会までのチームの目標を第1クールから第4クールに設定した。

 まず第1クールは「15年1月のアジアカップ優勝」(準々決勝でUAEにPK戦負け)。第2クールは「W杯2次予選で多くの選手を試しながら最終予選に進出する」。指揮官はアギーレからハリルホジッチに代わったが、当初の目標設定は変わらず、第3クールは「W杯アジア最終予選では結果にこだわりながらチームを熟成させる」。第4クールが「W杯本大会に向けて準備を進めながらマッチメークやキャンプで結果を残す」――。

 2月で50歳を迎えた霜田氏は都立高島高を卒業後、単身でブラジルに3年間サッカー留学。サントスではヤス、カズの三浦兄弟と共同生活で苦楽を共にした。88年に帰国するとフジタ(現湘南)や京都紫光クラブ(現京都)などでプレー。膝のケガで引退後は大塚製薬(現徳島)、京都でコーチや下部組織の監督を務め、01~05年はFC東京強化部。07、08年は千葉でトップチームのコーチを務めた。09年に原博実JFA技術委員長(現Jリーグ副理事長)の招きに応じてJFAに転籍した霜田氏にとって初の大仕事が、10年南アW杯後の代表監督選びだった。

 家族にも行き先を告げず、原JFA技術委員長と欧州を飛び回った。

 得意のポルトガル語を駆使してアポイントを取り、現地で交渉を重ねて契約書まで作成し、招聘したザッケローニ監督は、ブラジルW杯予選を順調に勝ち進んだ。 

 しかし、ブラジルでは1分け2敗と不甲斐ない成績に終わった。

「アジアでは突出した強さを誇って《自分たちのサッカー》に自信を持っていたが、相手に応じて《違うサッカースタイル》を用意できなかったことが悔やまれます」と霜田氏が振り返る。最終予選を突破したら「第4クール」に移行する。スムーズなステップアップのために一日も早い予選突破を期待したい。

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