私が巨人を去る時、キヨが便箋5枚の手紙を書いてくれた
2002年の西武との日本シリーズ。巨人は3連勝で日本一に王手をかけていた。就任1年目の原監督には事前に今季限りで巨人を退団し、来季は一軍打撃コーチとして広島に復帰することを伝えていた。監督が選手の前で話す機会をつくってくれたため、これは周知のことだった。すると、キヨ(清原和博)と元木が私にこう言うのだ。
「内田さん、今日はタオルをポケットに入れとかんとダメよ」
「タオル? 何で?」
「原さんの胴上げの後に内田さんも胴上げするから。内田さんのことだから、きっと大泣きするでしょ? だからタオル持っといてよ」
「原監督の後なんてやめてくれ。これでプロ野球を去るわけじゃない。カープに行くとみんなの前で言ってるし、胴上げなんておかしいからやめてくれ」
キヨと元木から返事はなかった。