米球界で大量解雇 アジアのプロ野球“助っ人天国”の時代に

公開日: 更新日:

2A級の選手の平均月給は20万円前後

 マイナー選手の多くは薄給で、給料はシーズン中の分しかもらえない。2A級の選手の平均月給は20万円前後といわれている。前出のトンキンら日本でプレー経験のある3A選手の年俸も、日本時代より安い。

 日本の球団は新助っ人を獲得する際、メジャーに定着する「適齢期」を逃した20代後半~30代前半の3A選手を主なターゲットにしてきた。例えば、今年29歳になるDeNAのオースティンはそのクチだ。2019年の年俸は約6200万円だったが、DeNAでの今季年俸は1億円プラス出来高。彼らクラスの選手を獲得する際の相場は、年俸1億円前後。契約金の他に、所属先に数千万円程度の移籍金を支払うケースもある。こうした選手が今、解雇の対象になりつつある。相場が下がり、移籍金も不要なら、手を出しやすくなる。

■1A、2Aに逸材ゴロゴロ

 さらに友成氏は、「1A~2A級の若手選手も、アジアでプレーしたいと考えるかもしれない」と、こう続ける。

「彼らの多くはシーズンオフにアルバイトをして生計を立てている。しかし、コロナ禍で米国は失業率が上昇。仕事を見つけることも難しくなっている。選手人気が高いスポーツジムのインストラクターは、屋内での業務なので仕事に就きづらい。中南米出身の選手は母国リーグでプレーできるが、かといって、給料は高くない。たとえばメキシカンリーグの年俸は200万円程度です。でも、日本に行けば、育成契約でさえ年俸300万~400万円はもらえますからね」

 友成氏によると、1A、2Aクラスにも能力が高い選手が多いという。

「特に野手はパワーや肩、敏捷性など日本人とはかけ離れた身体能力を持った選手がゴロゴロいる。遊撃手はその典型といえます。日本も公式戦縮小により各球団の収益が減り、補強費にも影響が出るでしょうが、育成契約を活用すれば、さらに補強費用を抑えられます」

 日本では今季、コロナ特例の一環として、外国人枠を1増の「5」とするプランが浮上。かねて外国人枠の緩和を求めている球団もあり、これを契機に外国人枠が広がる可能性もゼロではない。育成契約なら獲得人数に制限がなく、獲得後に能力を見極める手もある。

 韓国球界も今季中の助っ人獲得に関し、ポストシーズンに出場可能となる獲得期限を8月15日から9月1日に延長した。アジアのプロ野球は「助っ人天国」の時代を迎えるかもしれない。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • 野球のアクセスランキング

  1. 1

    俺が監督になったら茶髪とヒゲを「禁止」したい根拠…立浪和義のやり方には思うところもある

  2. 2

    阪神・梅野がFA流出危機!チーム内外で波紋呼ぶ起用法…優勝M点灯も“蟻の一穴”になりかねないモチベーション低下

  3. 3

    梅野隆太郎は崖っぷち…阪神顧問・岡田彰布氏が指摘した「坂本誠志郎で捕手一本化」の裏側

  4. 4

    阪神に「ポスティングで戦力外」の好循環…藤浪晋太郎&青柳晃洋が他球団流出も波風立たず

  5. 5

    巨人・阿部監督に心境の変化「岡本和真とまた来季」…主砲のメジャー挑戦可否がチーム内外で注目集める

  1. 6

    巨人・戸郷翔征は「新妻」が不振の原因だった? FA加入の甲斐拓也と“別れて”から2連勝

  2. 7

    オレが立浪和義にコンプレックスを抱いた深層…現役時代は一度も食事したことがなかった

  3. 8

    巨人エース戸郷翔征の不振を招いた“真犯人”の実名…評論家のOB元投手コーチがバッサリ

  4. 9

    “死球の恐怖”藤浪晋太郎のDeNA入りにセ5球団が戦々恐々…「打者にストレス。パに行ってほしかった」

  5. 10

    阪神・佐藤輝明が“文春砲”に本塁打返しの鋼メンタル!球団はピリピリも、本人たちはどこ吹く風

もっと見る

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    阪神・梅野がFA流出危機!チーム内外で波紋呼ぶ起用法…優勝M点灯も“蟻の一穴”になりかねないモチベーション低下

  2. 2

    梅野隆太郎は崖っぷち…阪神顧問・岡田彰布氏が指摘した「坂本誠志郎で捕手一本化」の裏側

  3. 3

    国民民主党「選挙違反疑惑」女性議員“首切り”カウントダウン…玉木代表ようやく「厳正処分」言及

  4. 4

    阪神に「ポスティングで戦力外」の好循環…藤浪晋太郎&青柳晃洋が他球団流出も波風立たず

  5. 5

    本命は今田美桜、小芝風花、芳根京子でも「ウラ本命」「大穴」は…“清純派女優”戦線の意外な未来予想図

  1. 6

    巨人・戸郷翔征は「新妻」が不振の原因だった? FA加入の甲斐拓也と“別れて”から2連勝

  2. 7

    時効だから言うが…巨人は俺への「必ず1、2位で指名する」の“確約”を反故にした

  3. 8

    石破首相続投の“切り札”か…自民森山幹事長の後任に「小泉進次郎」説が急浮上

  4. 9

    今田美桜「あんぱん」44歳遅咲き俳優の“執事系秘書”にキュン続出! “にゃーにゃーイケオジ”退場にはロスの声も…

  5. 10

    参政党のSNS炎上で注目「ジャンボタニシ」の被害拡大中…温暖化で生息域拡大、防除ノウハウない生産者に大打撃