著者のコラム一覧
東敬一朗石川県・金沢市「浅ノ川総合病院」薬剤部主任。薬剤師

1976年、愛知県生まれの三重県育ち。摂南大学卒。金沢大学大学院修了。薬学博士。日本リハビリテーション栄養学会理事。日本臨床栄養代謝学会代議員。栄養サポートチーム専門療法士、老年薬学指導薬剤師など、栄養や高齢者の薬物療法に関する専門資格を取得。

授乳中の母親にクスリを使うときの3つの注意点

公開日: 更新日:

 授乳中の母親のことを「授乳婦」といいますが、授乳婦にクスリを使う際にも、妊娠中ほどではないにしろ注意が必要です。母乳育児中の乳児は、栄養や水分はほぼ母乳から得ることになるからです。

 授乳中のクスリの考え方については、妊娠中と似ている部分もあります。ほとんどのクスリの成分は血液中に入り、それが体内に分布して(広がって)効果を発揮するので、授乳中に母親がクスリを使うとそれが母乳に移行して乳児にも影響が出る可能性があります。そのため、授乳中の母親にクスリを使う際には、できるだけ乳児に影響のない、あるいは少ないクスリを選択しなければなりません。

 授乳婦にクスリを使う際に考えなければならない点としては、①薬物の乳汁移行性②乳児の体内での薬物動態③薬物そのものの乳児への作用、が挙げられます。

 薬物の乳汁移行性が高いということは、クスリの成分が乳汁を介して乳児の体内に入ることを意味します。乳児が母親と同じクスリを内服していることと同じと考えるとわかりやすいと思います。乳汁移行性に関係する要素はほぼ胎盤通過性と同じです。クスリの成分そのものが大きい場合や血液中でタンパク質にひっつきやすい性質の薬物の場合は乳汁移行性が低くなるので、乳児に影響を与えにくくなります。また、乳腺の細胞膜は脂質でできているため、クスリの成分が脂溶性の場合は乳汁移行性が高くなります。

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