(3)阪神チーム改革のキモは「脱岡田」にあり…前監督との“暗闘”は就任直後に始まった
藤川球児監督(45)はリーグ優勝時のお立ち台で、OBやファンの存在について、こう言った。
「やっぱりこれだけの大声援を普段いただいていますから。叱咤激励というのが自分の力に変わる。『叱咤激励というのはどんとこい』という感じになったんで自分が強くなりました。(中略)この役割がある間は全うしますので、ぜひ叱咤激励と喜怒哀楽を、この甲子園球場でバンバン出してください」
阪神の監督を務める以上、熱狂的なファン、メディアはもちろん、OBからの「叱咤激励」は避けて通れない。そこで監督就任後はあえてOBから距離を置いた。先のお立ち台で、「そのあたりはまたいつか先輩方に、戦うためだったのでお許し願いたいなと思います」と言及したのはそのためだ。
そんな新人監督が激しく対抗心を燃やしたOBが、岡田彰布前監督(67=オーナー付顧問)だという。2023年にリーグ優勝、日本一を達成、オリックス監督時代も含めて歴代19位の740勝をマーク。球団史上最多勝利監督でもある。
今春キャンプでいきなり、「オカダの洗礼」を浴びた。シートノックで今季から取り組む外野からの「ノーカット返球」が乱れる場面が目立つと、視察に訪れていた岡田前監督は報道陣を通じて「もっと締めなアカン」と喝を食らわせた。前任者としてチームを把握しているうえ、阪神への愛着は人一倍強い。以降もテレビ解説などでコトあるごとに「藤川野球」に苦言を呈した。
指導者経験ゼロからの就任。岡田前監督に限らず、藤川監督の手腕に懐疑的なOBは少なくなかった。それゆえ、藤川監督はあえて彼らを遠ざけた。OBを評論家として抱えるメディアとも一定の距離を置いたうえで、「脱岡田野球」を打ち出した。