鈴木尚典さん 横浜の名スラッガーはBCリーグ監督で奮闘中

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 ベイスターズが日本一の座を奪取した1998年。不動の3番バッターとして“マシンガン打線”をリードし、日本シリーズMVPを獲得した。本日登場の鈴木尚典さん(48)だ。絶妙のバットコントロールでヒットの山を築く一方、調子が悪い時でもひたむきにバットを振り抜く姿はファンの心を揺さぶったものだ。引退は2008年。さて、今どうしているのか?

  ◇  ◇  ◇

「今日の1勝は大きいよ。0―5からひっくり返したんだからね。最後まで諦めない、というみんなの強い気持ちが勝利に結びついたんだと思う」

 7月4日、埼玉県さいたま市の県営大宮公園野球場。こう話しながら日焼けで真っ黒な顔にホッとした表情を浮かべたのは、鈴木さん本人だ。今シーズンからプロ野球・独立リーグ「ルートインBCリーグ」に参戦した神奈川フューチャードリームスの初代監督として指揮を執っている。チームカラーの藤色を基調とした真新しいユニホーム姿が初々しくもある。

 この日は、埼玉をホームグラウンドにする埼玉武蔵ヒートベアーズと対戦した。先攻の神奈川が六回裏まで0―5で一方的に負けていたが、七回に牧田龍輝選手の2ランホームランなどで4点を返し、八回にカレオン選手が2ランホームランを放ち鮮やかに逆転する。さらに九回にダメ押しの追加点をもぎ取り、7―5で貴重な1勝を手中にした。

 初回、先頭バッターの青木颯主将がヒットで出塁したが、その後が続かず、二回以降も凡打の山。いやーな雰囲気が漂っていた。

「まず1点。そうすれば、流れが変わるから、とベンチで選手に言っていました。それがこうやって形になると、選手たちが得るものは大きいんですよ」

 6月21日の茨城県土浦市のJ:COMスタジアム土浦で行われた茨城アストロプラネッツとの開幕戦も、0―1から逆転し、6―2で初陣を飾った。

 勝利後の囲み取材では、「(現役の頃の)マシンガン打線のような攻撃で持ち味が出た。欲を言えばもっと早く点が欲しかった。投手の継投も考えなきゃいけないからね。選手でやってる方が楽です」と正直に語り、記者の笑いを誘っていたが、7月13日現在、9戦して6勝2敗1分け。7月5日の対栃木ゴールデンブレーブス戦こそ1―10で大敗したが、善戦していると言っていいだろう。

 一方、新型コロナウイルス感染症の影響は、NPBをはじめとする他のプロスポーツ同様に大きい。

 全体練習を開始したのは6月1日から。それまでは選手個々人が、バッティングセンターや地元・神奈川県の相模川河川敷で自主トレに励んでいた。しかも7月末まで無観客試合が決まっており、最近、新たに感染者が拡大しているため「8月以降もどうなるかわからない」(BCリーグ関係者)。

 それでも野球王国・神奈川から生まれた球団だけに注目度は高い。

 鈴木監督以下、首脳陣は、山下大輔GM、荒波翔球団アドバイザー兼任コーチらベイスターズ出身が固め、投手兼任コーチは日本ハム巨人、BCリーグ・富山で活躍した乾真大選手。そして林裕幸ヘッドコーチはNPB経験はないが、日本石油、明治安田生命など、多数の社会人チームで監督を歴任し、シドニー五輪・日本代表チームのコーチも務めていたベテランだ。

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