新谷仁美直撃<3>代表入りで満足していたら世界で戦えない

公開日: 更新日:

新谷仁美(東京五輪 女子長距離代表候補、32歳)

 夢多き高校時代、ある大会をテレビで観戦し、アフリカ選手の厳しい現実を知った。そのときのことを今でも忘れないという。

 ◇  ◇  ◇

 ―――高校生の時に見た、あるレースに衝撃を受けたそうですね。

「2005年の世界ユース(モロッコ)に出場したときです。男子3000メートルで、ケニアかエチオピアだったか、国は覚えていませんが、アフリカの選手が裸足でした。なんで裸足で走っているんだろうと不思議でした。裸足の選手は決勝に進みました。すると、今度は新品のシューズを履いて出てきたのです。『アフリカでは、日本みたいにシューズやウエアを当たり前のようにもらえない。あの選手はシューズを買うお金がなかったと思う。決勝に進んだことで、ようやくスポンサーからシューズを提供されたんだ』と、先生に聞かされました」

 ――青学大OBで箱根駅伝では「山の神」と呼ばれた神野大地選手にケニア合宿の話を聞いたことがあります。みんな「何年履いているの?」というぐらいボロボロのシューズで走っている。彼は2カ月で10足の靴をつぶしたそうですが、ケニアではシューズの裏が削れているぐらいで捨てるなんて考えられない。ケニア選手は喜んでもらっていたと。

「今はその現実がよくわかります。日本選手は予選からきれいなシューズを履いていて、決勝に出れば万々歳です。あのときのアフリカ選手の胸の内はわかりませんが、決勝はシューズを履いて走りたいと思っていたはずです。単純に『決勝へ行きたい』ということだけでなかったことが伝わってきて、今でもよく覚えています」

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    梅宮アンナ「10日婚」短期間で"また"深い関係に…「だから騙される」父・辰夫さんが語っていた恋愛癖

  2. 2

    「時代と寝た男」加納典明(19) 神話レベルの女性遍歴、「機関銃の弾のように女性が飛んできて抱きつかれた」

  3. 3

    砂川リチャード抱える巨人のジレンマ…“どうしても”の出血トレードが首絞める

  4. 4

    日テレ退職の豊田順子アナが定年&再雇用をスルーした事情…ベテラン局アナ「セカンドキャリア」の明と暗

  5. 5

    “バカ息子”落書き騒動から続く江角マキコのお騒がせ遍歴…今度は息子の母校と訴訟沙汰

  1. 6

    中学受験で慶応普通部に合格した「マドラス」御曹司・岩田剛典がパフォーマーの道に進むまで

  2. 7

    吉沢亮「国宝」が絶好調! “泥酔トラブル”も納得な唯一無二の熱演にやまぬ絶賛

  3. 8

    阿部巨人“貧打の元凶”坂本勇人の起用に執着しているウラ事情…11日は見せ場なしの4タコ、打率.153

  4. 9

    ドジャース佐々木朗希の離脱は「オオカミ少年」の自業自得…ロッテ時代から繰り返した悪癖のツケ

  5. 10

    フジ・メディアHD株主総会間近…328億円赤字でも「まだマシ」と思える系列ローカル局の“干上がり”ぶり