新谷仁美直撃<2>陸上が嫌いなら何のために走っているの?

公開日: 更新日:

新谷仁美(東京五輪 女子長距離代表候補、32歳)

 延期になった東京五輪は「国民の反対があるのなら開催する必要はない」と語った女子陸上長距離の新谷仁美(32)。「陸上は仕事。おもしろいとは思わない」という。なぜか……。

  ◇  ◇  ◇

 ――新谷さんは陸上は仕事だと言いますが、走ることは好きではないのですか。

「高校生の頃は違いますよ。あの頃はドリーマーでした。夢しか持っていなかったし、陸上のことはたぶん好きだったと思う。それが大人になってきて、いろんな言葉などを耳にして、嫌なことも経験した。結局いきついた先は、陸上が嫌いとか、好きとか言ってる場合ではないと。生きるためには働かなければならない。だから、今は生きるために走っている。嫌いだからやらないというわけにはいかない。苦手だから、これには手をつけたくないということも今はない。だからハーフマラソンにも手を出したわけです」

 ――男子マラソンでは近年、大迫傑、神野大地、川内優輝がプロ選手になっています。陸上のプロ化についてはどんな考えを持っていますか。

「前回も言いましたが、私は企業やスポンサーから1円でも報酬をいただけばプロだと考えています。生きていく上ではお金が必要です。私は引退して会社勤めをしましたが、手っ取り早く稼ぐためにこの世界に戻ってきました。世間的にはあまりよい言い方ではありませんし、たぶん批判を買うような言葉だと思いますが、必死になってやらないといけない世界だということを現役選手に気づいて欲しい。ちょっと人より足が速いとか、ちょっと試合に出ていればOKというのではなく、出た試合で1番になる人は1人しかいませんが、もっと貪欲になってもらいたいのです。命懸けと言ったらオーバーですけど、それだけの対価をいただいているということをわかった上でレースに臨む。練習をしたからOKではないですし、コーチから褒められるのが仕事でもない。企業やスポンサーが望んでいるのは個々の成績であって、私たちは商品だということをわからなければいけないと思います」

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1
    大谷の「新・代理人枠」狙い大物エージェントが虎視眈々…争奪戦勃発は待ったなし

    大谷の「新・代理人枠」狙い大物エージェントが虎視眈々…争奪戦勃発は待ったなし

  2. 2
    阪神・大山悠輔 今季中にFA権取得見込みであるのか? まさかの巨人流出…ロッテ、楽天も虎視眈々

    阪神・大山悠輔 今季中にFA権取得見込みであるのか? まさかの巨人流出…ロッテ、楽天も虎視眈々

  3. 3
    大谷「英語力」格段向上の皮肉とプラス効果 元通訳・水原容疑者の裏切りが副産物を生んだ

    大谷「英語力」格段向上の皮肉とプラス効果 元通訳・水原容疑者の裏切りが副産物を生んだ

  4. 4
    小室圭さん年収4000万円でも“新しい愛の巣”は40平米…眞子さんキャリア断念で暇もて余し?

    小室圭さん年収4000万円でも“新しい愛の巣”は40平米…眞子さんキャリア断念で暇もて余し?

  5. 5
    水原一平容疑者は刑務所に何年ブチ込まれる? 違法賭博発覚への「妨害工作」次々判明

    水原一平容疑者は刑務所に何年ブチ込まれる? 違法賭博発覚への「妨害工作」次々判明

  1. 6
    長渕剛の大炎上を検証して感じたこと…言葉の選択ひとつで伝わり方も印象も変わる

    長渕剛の大炎上を検証して感じたこと…言葉の選択ひとつで伝わり方も印象も変わる

  2. 7
    メジャー29球団がドジャースに怒り心頭! 佐々木朗希はそれでも大谷&由伸の後を追うのか

    メジャー29球団がドジャースに怒り心頭! 佐々木朗希はそれでも大谷&由伸の後を追うのか

  3. 8
    福原遥が挑むNHK朝ドラ&大河W主演「歴代4人の超難関」への道…まずは2025年「べらぼう」出演

    福原遥が挑むNHK朝ドラ&大河W主演「歴代4人の超難関」への道…まずは2025年「べらぼう」出演

  4. 9
    若林志穂が語った昭和芸能界の暗部…大物ミュージシャン以外からの性被害も続々告白の衝撃

    若林志穂が語った昭和芸能界の暗部…大物ミュージシャン以外からの性被害も続々告白の衝撃

  5. 10
    若林志穂さん「生活保護受給」をXで明かす…性被害告発時のアンチ減り、共感者続出のワケ

    若林志穂さん「生活保護受給」をXで明かす…性被害告発時のアンチ減り、共感者続出のワケ