著者のコラム一覧
藤田信之日本実業団陸上競技連合顧問

1940年10月、京都府出身。洛北高卒業、京都市職員を経て68年ユニチカ陸上部コーチ、72年監督就任。86年ワコール初代監督、99年グローバリー初代監督、2005年シスメックス初代監督、11年同陸上部顧問退任。現在、日本実業団陸上競技連合顧問。

野口みずきを「ストライド走法」に変えた チョコチョコ走りでは世界では戦えない

公開日: 更新日:

 しかし、歩幅を広げれば着地の際の衝撃は大きくなり、脚への負荷も増す。身長の低い野口ならなおさらだ。野口は当初、筋力が弱かった。筋力トレーニングに反対論もあったが、大きな走りをするためには上半身の強化に合わせ、下半身を鍛えに鍛え、バネを利かせ跳ぶようなストライド走法を完成させた。

 話はそれるが、19年のシカゴでB・コスゲイ(ケニア)が2時間14分4秒の世界記録を樹立。ラドクリフの記録を16年ぶりに更新した。履いていた靴は近年はやりの厚底だった。同年に駒大の大八木(弘明)監督に話を聞くと、「藤田監督、あの靴は5キロで15秒から20秒ぐらいは違います」と教えてくれた。

 全盛期の野口がその靴を履けば2時間15分ぐらいで走ったのではないか。

■試走で戦略は決まった

 高地のサンモリッツから、フランクフルト(ドイツ)での平地順化トレーニングを経て、アテネに入ったのは本番(8月22日)の5日前。7月上旬にコース試走をしたときは、まだ整備工事中でガタガタの所も多かった。そこを2人の男子コーチと一緒に走らせた。激しい起伏があるコースは10キロから徐々に上り始め、15キロからはさらに傾斜がきつくなり32キロまで続く。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    草間リチャード敬太容疑者が逮捕…コンビニバイトと掛け持ちの苦労人だったが横山裕のセレクトに難あり?

  2. 2

    「えげつないことも平気で…」“悪の帝国”ドジャースの驚愕すべき強さの秘密

  3. 3

    自民党は戦々恐々…公明党「連立離脱」なら次の衆院選で93人が落選危機

  4. 4

    俺と巨人ガルベスの大乱闘の一部始終…落合博満さんのヘッドロックには気を失いかけた

  5. 5

    マエケンの「DeNA入り」が急浮上! 古巣広島まさかのNO、巨人はマー君が足かせで動けず

  1. 6

    まさかの故障で失意の最中「お前はラッキー」…トシさんの言葉がなければ今の俺はいない

  2. 7

    DeNA次期監督候補に谷繁元信氏が浮上…南場智子オーナーのイチオシ、本人も願ったりかなったり

  3. 8

    米倉涼子の"体調問題"が各界に波紋…空白の1カ月間に一体何が? ドラマ降板情報も

  4. 9

    参政党の党勢拡大に早くも陰り…「聖地」加賀市で“親密”現職市長が惨敗落選の波乱

  5. 10

    公明党が「自民との連立離脱も辞さず」の背景…まさかの“国政撤退”もあり得る深刻事情