元川悦子
著者のコラム一覧
元川悦子サッカージャーナリスト

1967年7月14日生まれ。長野県松本市出身。業界紙、夕刊紙を経て94年にフリーランス。著作に「U―22」「黄金世代―99年ワールドユース準優勝と日本サッカーの10年 (SJ sports)」「「いじらない」育て方~親とコーチが語る遠藤保仁」「僕らがサッカーボーイズだった頃2 プロサッカー選手のジュニア時代」など。

185センチ大型ボランチの浦和の伊藤敦樹は「存在価値」を発揮して代表生き残りを図る

公開日: 更新日:

伊藤敦樹(浦和/MF/25歳)

「日本代表から帰って、自分の存在を(浦和)レッズで示していくことが、僕の使命でもあると思う。本当にレッズを勝たせられるような選手になっていきたいです」

 こう語気を強めるのは国内組の成長株・伊藤敦樹だ。

 日本代表の6月シリーズに追加で代表初選出を果たし、9月の欧州遠征シリーズのトルコ戦(ゲンク)で待望の代表初ゴールをゲット。

 2002年日韓W杯で一世風靡した稲本潤一(南葛SC)を彷彿させる大型ボランチへの期待は、日に日に高まっている。

 1998年8月生まれの伊藤敦樹の出身地は、埼玉県浦和(現さいたま)市。まさに浦和レッズのお膝元だ。中学・高校の6年間、浦和のアカデミーで育ち、ユース時代は大槻毅監督(現群馬)の下、ひとつ下の橋岡大樹(シントトロイデン)や荻原拓也(浦和)らと切磋琢磨した。

 しかし、今では信じられないことだが、当時は体の線が細く、フィジカル的に見劣りしたこともあって、トップ昇格は見送られた。

 本人は流通経済大学へ進み、一から肉体改造を行い、プロのレベルで戦えるように自己研鑽を続け、2021年に古巣・浦和入りを勝ち取った。

 そこからの飛躍は凄まじかった。昨季チームを率いていたたリカルド・ロドリゲス監督に高く評価され、大卒1年目ながらボランチの軸に据えられ、存在感を増していく。2022年には「近い将来、代表入りもあり得る」と評されるほどに。 

 5月にAFCチャンピオンズリーグ(ACL)制覇の立役者になったことで、周囲からの期待はより一層高まった。それが実現したのが6月。エルサルバドル戦(豊田)前日に体調不良で離脱した川村拓夢(広島)に代わって追加招集され、一度も全体練習に参加しない状態でいきなり終盤から出場。代表デビューを飾ったのだ。

「昨日の試合より今日の初練習の方が緊張感がありました」と本人も試合翌日の練習後に苦笑したが、浦和の先輩・遠藤航(リバプール)や流経大の先輩・守田英正(スポルティング・リスボン)の一挙手一投足を目の当たりにして「ひとつひとつの技術や強度の差があるな」と痛感。世界基準を常に意識しながらレベルアップしなければいけないという危機感を強めたようだ。

 それでも「自分みたいに身長があって、体格に恵まれたボランチの選手というのは国内にはなかなかいないし、自分の存在価値はそこにあると思う」とも発言。大型ボランチの優位性を前面に押し出し、代表生き残りを図っていく覚悟をのぞかせた。

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1
    悠仁さまは推薦入学で東大を目指すも…名門・筑波大付属高校が持つ「4人」の枠に入れるのか?

    悠仁さまは推薦入学で東大を目指すも…名門・筑波大付属高校が持つ「4人」の枠に入れるのか?

  2. 2
    渡辺徹さんの死は美談ばかりではなかった…妻・郁恵さんを苦しめた「不倫と牛飲馬食」

    渡辺徹さんの死は美談ばかりではなかった…妻・郁恵さんを苦しめた「不倫と牛飲馬食」

  3. 3
    「天皇になられる方。誰かが注意しないと…」の声も出る悠仁さまの近況

    「天皇になられる方。誰かが注意しないと…」の声も出る悠仁さまの近況

  4. 4
    巨人の得点圏打率.186は12球団最低…チャンスに滅法弱く、立場が危うくなった打者3人の名前

    巨人の得点圏打率.186は12球団最低…チャンスに滅法弱く、立場が危うくなった打者3人の名前

  5. 5
    どちらが“将来の天皇”の注目度 愛子さまは園遊会で猫談義、悠仁さまは玉川大訪問が話題に

    どちらが“将来の天皇”の注目度 愛子さまは園遊会で猫談義、悠仁さまは玉川大訪問が話題に

  1. 6
    「アンメット」の“三瓶先生”にハマる視聴者続出!杉咲花も惚れた若葉竜也「無愛想な魅力」の原点

    「アンメット」の“三瓶先生”にハマる視聴者続出!杉咲花も惚れた若葉竜也「無愛想な魅力」の原点

  2. 7
    阪神・岡田監督が密かに温めていた「藤浪獲得プラン」が消滅していた…

    阪神・岡田監督が密かに温めていた「藤浪獲得プラン」が消滅していた…

  3. 8
    阪神・大山悠輔「4年16億円」争奪戦勃発に現実味…評価を押し上げた「目に見える数字」以上の価値

    阪神・大山悠輔「4年16億円」争奪戦勃発に現実味…評価を押し上げた「目に見える数字」以上の価値

  4. 9
    小池都知事の公約「築地は守る」どこへ? 食のテーマパーク機能を有する市場のはずが“多目的スタジアム”に巨人が移転?

    小池都知事の公約「築地は守る」どこへ? 食のテーマパーク機能を有する市場のはずが“多目的スタジアム”に巨人が移転?

  5. 10
    福山雅治は自宅に帰らず…吹石一恵と「6月離婚説」の真偽

    福山雅治は自宅に帰らず…吹石一恵と「6月離婚説」の真偽