開星(島根)野々村直通監督「グラウンドで倒れたら本望?そういうのはない。子供にも失礼ですから」
「野球については素人」
──野球に取り組む意識や姿勢から指導したと。
「補欠は草抜きしとけ、という感じで、監督の目の届かないところに追いやられる。補欠であっても野球をしに来たわけですから。今年の3年生は素晴らしいですよ。ベンチ外の子も一生懸命手伝うし、後輩以上に率先して準備、応援する。お互いが認め合って、みんなで勝とうという一体感が出てきたのが今のチームの強み。
キャプテンの藤江(3年)は正直、野球ではベンチに入れる力はない。周囲が主将として認めた。まさに陰の監督。自分ができないプレーでも、チームのためにハッキリとモノを言える。レギュラーも、下手くそのくせに、という態度にならない。選手同士で何度もミーティングをやってますね。試合では私が何も言わなくても声は出すし、集中もする。1回戦のタイブレークの勝ちも感動しましたが、本当に素晴らしいチームです」
──一方、開会式の予行演習は体調不良で欠席。
「体調は何とかですよ。島根大会で5試合、2週間ほどやって精神的なものもあって。優勝して甲子園に行けるとなって回復しましたけど、大阪に入る前に町医者をやっている教え子に点滴を打ってもらった。何もないときはベッドで横になって。エアコン切っても寒かったり、足の先が冷たくなったり。そんな年かなとは思いますけどね」
──今大会の最年長監督。
「おじいちゃんと孫ですからね(笑)。あっという間にこんな年になって。子供たちと一緒に青春に引きずり込まれて、今回も甲子園に連れてきてもらった。私はそもそも美術教師になる過程で、広島大で野球部にいただけ。野球については素人。俺でいいのか? ってところで、頑張ってます」
──グラウンドで倒れたら本望という監督もいる。
「そういう方もいらっしゃいますけど、私はそういうのはないですね。子供にも失礼ですから。体が弱って、ノックも打てないとなっても、手と脳みそがしっかりしていれば、絵は描ける。それが終焉の姿かなと思ってますけどね」