「ジャーニー・ボーイ」高橋克彦著
■東北を舞台に描くピストル・ボーイの活躍
明治11年、上野の精養軒で外国人客の接待係をしていた伊藤は、“ピストル・ボーイ”の異名を持ち、外務省から英国人女性探検家、イザベラ・バードの通訳兼護衛役を依頼される。恩人でもある岸田吟香の推薦だった。外務省は、通常のルートではなく近々、御巡幸が予定されている新潟を経由して北海道に向かうというバードに警戒の目を向けていた。一方で、本国で絶大な人気があるという彼女に万一のことがあってはならない。まずは最初の目的地の日光を目指し、旅が始まった。しかし、伊藤はすぐにバードの乗った人力車を引く車夫の様子に不審を抱く。
東北を舞台に反政府勢力の標的となったバードを守る伊藤の活躍を描く明治冒険譚。
(朝日新聞出版 1800円)