「世界泥棒」桜井晴也著
■第50回文藝賞受賞作
「わたし」は、深夜の公園で真山くんから「決闘」のことを聞く。放課後の教室で行われるそれは、皆が見守る中、決闘する2人がお互いにどちらかが死ぬまで拳銃を撃ち合うのがルールだという。決闘を仕切るのは百瀬くんで、拳銃も彼が用意するらしい。決闘する2人の間には互いに憎しみはなく、キャベツとレタスはどちらがサラダに欠かせないかなどが決闘の理由だそうだ。2週間後、わたしは友人から真山くんが死んだことを教えられる。彼のバラバラ死体の写真を送ってきたその友人は、決闘のことをしゃべったから彼は百瀬くんに殺されたのだという。
審査員の星野智幸氏が「読んだら二度と忘れないだろう」と絶賛する第50回文藝賞受賞作。
(河出書房新社 1400円)