「食彩の文学事典」重金敦之著

公開日: 更新日:

■雑煮の餅に挑戦した猫

 文学作品に描かれた食の風景から、日本人が愛してきた食材や料理を語る文学エッセー。雑煮の項では、夏目漱石の「吾輩は猫である」の主人公の猫が、雑煮の餅に無謀にも挑戦する場面や、京都のすべてを愛しているが白みその雑煮だけは受け付けないと登場人物が語る北森鴻の「ぶぶ漬け伝説の謎 裏京都ミステリー」などを紹介。さらに、渡辺淳一が「雑煮の夫婦別れ」と表現し、團伊玖磨が「椀の中に日本中が映っている」と書き残したように、雑煮へのこだわりは、好みの問題ではなく、歴史と地理を物語っていることを明らかにしていく。

 文士らのエピソードも豊富に250冊を読み解きながら、彼らが描いた豊かな日本食の世界を案内。
(講談社 1700円)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    ドジャース佐々木朗希の心の瑕疵…大谷翔平が警鐘「安全に、安全にいってたら伸びるものも伸びない」

  2. 2

    ドジャース「佐々木朗希放出」に現実味…2年連続サイ・ヤング賞左腕スクーバル獲得のトレード要員へ

  3. 3

    ドジャース大谷翔平32歳「今がピーク説」の不穏…来季以降は一気に下降線をたどる可能性も

  4. 4

    ギャラから解析する“TOKIOの絆” 国分太一コンプラ違反疑惑に松岡昌宏も城島茂も「共闘」

  5. 5

    巨人が李承燁コーチ就任を発表も…OBが「チグハグ」とクビを傾げるFA松本剛獲得の矛盾

  1. 6

    国分太一問題で日テレの「城島&松岡に謝罪」に関係者が抱いた“違和感”

  2. 7

    今度は横山裕が全治2カ月のケガ…元TOKIO松岡昌宏も指摘「テレビ局こそコンプラ違反の温床」という闇の深度

  3. 8

    国分太一“追放”騒動…日テレが一転して平謝りのウラを読む

  4. 9

    ドジャース首脳陣がシビアに評価する「大谷翔平の限界」…WBCから投打フル回転だと“ガス欠”確実

  5. 10

    大谷翔平のWBC二刀流実現は絶望的か…侍J首脳陣が恐れる過保護なドジャースからの「ホットライン」