「食彩の文学事典」重金敦之著

公開日: 更新日:

■雑煮の餅に挑戦した猫

 文学作品に描かれた食の風景から、日本人が愛してきた食材や料理を語る文学エッセー。雑煮の項では、夏目漱石の「吾輩は猫である」の主人公の猫が、雑煮の餅に無謀にも挑戦する場面や、京都のすべてを愛しているが白みその雑煮だけは受け付けないと登場人物が語る北森鴻の「ぶぶ漬け伝説の謎 裏京都ミステリー」などを紹介。さらに、渡辺淳一が「雑煮の夫婦別れ」と表現し、團伊玖磨が「椀の中に日本中が映っている」と書き残したように、雑煮へのこだわりは、好みの問題ではなく、歴史と地理を物語っていることを明らかにしていく。

 文士らのエピソードも豊富に250冊を読み解きながら、彼らが描いた豊かな日本食の世界を案内。
(講談社 1700円)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    清原和博氏が巨人主催イベントに出演決定も…盟友・桑田真澄は球団と冷戦突入で「KK復活」は幻に

  2. 2

    安青錦の大関昇進めぐり「賛成」「反対」真っ二つ…苦手の横綱・大の里に善戦したと思いきや

  3. 3

    99年シーズン途中で極度の不振…典型的ゴマすりコーチとの闘争

  4. 4

    実は失言じゃなかった? 「おじいさんにトドメ」発言のtimelesz篠塚大輝に集まった意外な賛辞

  5. 5

    日銀を脅し、税調を仕切り…タガが外れた経済対策21兆円は「ただのバラマキ」

  1. 6

    巨人今オフ大補強の本命はソフトB有原航平 オーナー「先発、外野手、クリーンアップ打てる外野手」発言の裏で虎視眈々

  2. 7

    阿部巨人に大激震! 24歳の次世代正捕手候補がトレード直訴の波紋「若い時間がムダになっちゃう」と吐露

  3. 8

    林芳正総務相「政治とカネ」問題で狭まる包囲網…地方議員複数が名前出しコメントの大ダメージ

  4. 9

    国分太一が「世界くらべてみたら」の収録現場で見せていた“暴君ぶり”と“セクハラ発言”の闇

  5. 10

    角界が懸念する史上初の「大関ゼロ危機」…安青錦の昇進にはかえって追い風に?