「男と女の江戸川柳」小栗清吾著

公開日: 更新日:

■「させろとはあんまり俗な口説きよう」

 江戸の庶民たちがなにより貴んだのは粋(いき)と洒落(しやれ)。それが試されるのが下ネタの世界。江戸川柳のなかでも「破礼句(ばれく)」と呼ばれる艶笑ものばかりを集めて解説したのが本書だ。

「木娘はさせそうにしてよしにする」
 処女なりに手練手管に長(た)けたさまが目に浮かぶようだ。

「蛸(たこ)の味万民是(これ)を賞玩し」
 イチモツに吸いつくタコのような名器。その味をみなが知っているとは……?

「町内で知らぬは亭主ばかりなり」
 現代ならさしずめ人妻AVの夫か。それでも、

「宝船皺になるほど女房漕ぎ」
 正月2日の姫始めの夜、寝床の下に敷いた縁起物の宝船の絵がシワだらけになるほど励んだ――というわけで、いずれもニヤリとさせる大人のユーモアが持ち味。

あけすけに過ぎれば下品になるばかりだし、単なるダジャレでは江戸っ子の名がすたる。ちなみに本書収録の全720句のうちおよそ半分弱が「誹風末摘花」からの引用。これは破礼句だけを集めて安永5年に発行された貴重な句集だそうだ。

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    巨人が李承燁コーチ就任を発表も…OBが「チグハグ」とクビを傾げるFA松本剛獲得の矛盾

  2. 2

    農水省ゴリ押し「おこめ券」は完全失速…鈴木農相も「食料品全般に使える」とコメ高騰対策から逸脱の本末転倒

  3. 3

    TBS「ザ・ロイヤルファミリー」はロケ地巡礼も大盛り上がり

  4. 4

    維新の政権しがみつき戦略は破綻確実…定数削減を「改革のセンターピン」とイキった吉村代表ダサすぎる発言後退

  5. 5

    3度目の日本記録更新 マラソン大迫傑は目的と手段が明確で“分かりやすい”から面白い

  1. 6

    国分太一“追放”騒動…日テレが一転して平謝りのウラを読む

  2. 7

    粗品「THE W」での“爆弾発言”が物議…「1秒も面白くなかった」「レベルの低い大会だった」「間違ったお笑い」

  3. 8

    阿部巨人に大激震! 24歳の次世代正捕手候補がトレード直訴の波紋「若い時間がムダになっちゃう」と吐露

  4. 9

    「おまえになんか、値がつかないよ」編成本部長の捨て台詞でFA宣言を決意した

  5. 10

    巨人阿部監督の“育成放棄宣言”に選手とファン絶望…ベテラン偏重、補強優先はもうウンザリ