「朝日新聞 日本型組織の崩壊」 朝日新聞記者有志著

公開日: 更新日:

 部数こそ読売の後塵を拝するものの“ニッポンの大新聞”といえばやはり朝日だ。その朝日が前代未聞級のスキャンダルを連発。まさに日本のジャーナリズムの危機にほかならない。

だが、現役の「記者有志」による本書によれば25年前に同社のカメラマンが故意にサンゴに傷をつけた「朝日サンゴ事件」のときから体質は一向に変わらないという。「官僚的に突っぱねたり、たらい回しにしたり、時には声高にねじ伏せたり、非を部分的にしか認めないで姑息な話のつけ方をしたり」は同事件の際の「反省」だったが、今回のスキャンダルにそのまま当てはまる。

 筆記試験だけでも競争率30倍という難関をくぐりぬけた学歴エリートたち。そのプライドとエリート臭が邪魔して泥くさい取材になじめず、東京本社に転勤できるよう上司や先輩の顔色ばかりうかがう癖が強くなる。こうして人事評価に障りが出るのを恐れて誤報の訂正もしたがらないという体質が築かれていくのだ。「吉田調書」「慰安婦問題」の検討のほか、社内の権力闘争の生ぐさい話も満載。

(文藝春秋 780円+税)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    白鵬のつくづくトホホな短慮ぶり 相撲協会は本気で「宮城野部屋再興」を考えていた 

  2. 2

    生田絵梨花は中学校まで文京区の公立で学び、東京音大付属に進学 高3で乃木坂46を一時活動休止の背景

  3. 3

    武田鉄矢「水戸黄門」が7年ぶり2時間SPで復活! 一行が目指すは輪島・金沢

  4. 4

    佳子さま“ギリシャフィーバー”束の間「婚約内定近し」の噂…スクープ合戦の火ブタが切られた

  5. 5

    狭まる維新包囲網…関西で「国保逃れ」追及の動き加速、年明けには永田町にも飛び火確実

  1. 6

    和久田麻由子アナNHK退職で桑子真帆アナ一強体制確立! 「フリー化」封印し局内で出世街道爆走へ

  2. 7

    松田聖子は「45周年」でも露出激減のナゾと現在地 26日にオールナイトニッポンGOLD出演で注目

  3. 8

    田原俊彦「姉妹は塾なし」…苦しい家計を母が支えて山梨県立甲府工業高校土木科を無事卒業

  4. 9

    藤川阪神の日本シリーズ敗戦の内幕 「こんなチームでは勝てませんよ!」会議室で怒声が響いた

  5. 10

    実業家でタレントの宮崎麗果に脱税報道 妻と“成り金アピール”元EXILEの黒木啓司の現在と今後