「朝日新聞 日本型組織の崩壊」 朝日新聞記者有志著

公開日: 更新日:

 部数こそ読売の後塵を拝するものの“ニッポンの大新聞”といえばやはり朝日だ。その朝日が前代未聞級のスキャンダルを連発。まさに日本のジャーナリズムの危機にほかならない。

だが、現役の「記者有志」による本書によれば25年前に同社のカメラマンが故意にサンゴに傷をつけた「朝日サンゴ事件」のときから体質は一向に変わらないという。「官僚的に突っぱねたり、たらい回しにしたり、時には声高にねじ伏せたり、非を部分的にしか認めないで姑息な話のつけ方をしたり」は同事件の際の「反省」だったが、今回のスキャンダルにそのまま当てはまる。

 筆記試験だけでも競争率30倍という難関をくぐりぬけた学歴エリートたち。そのプライドとエリート臭が邪魔して泥くさい取材になじめず、東京本社に転勤できるよう上司や先輩の顔色ばかりうかがう癖が強くなる。こうして人事評価に障りが出るのを恐れて誤報の訂正もしたがらないという体質が築かれていくのだ。「吉田調書」「慰安婦問題」の検討のほか、社内の権力闘争の生ぐさい話も満載。

(文藝春秋 780円+税)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    新生阿部巨人は早くも道険し…「疑問残る」コーチ人事にOBが痛烈批判

  2. 2

    大谷翔平は米国人から嫌われている?メディアに続き選手間投票でもMVP落選の謎解き

  3. 3

    阿部巨人V逸の責任を取るのは二岡ヘッドだけか…杉内投手チーフコーチの手腕にも疑問の声

  4. 4

    大谷翔平の来春WBC「二刀流封印」に現実味…ドジャース首脳陣が危機感募らすワールドシリーズの深刻疲労

  5. 5

    巨人桑田二軍監督の“排除”に「原前監督が動いた説」浮上…事実上のクビは必然だった

  1. 6

    阪神の日本シリーズ敗退は藤川監督の“自滅”だった…自軍にまで「情報隠し」で選手負担激増の本末転倒

  2. 7

    維新・藤田共同代表にも「政治とカネ」問題が直撃! 公設秘書への公金2000万円還流疑惑

  3. 8

    35年前の大阪花博の巨大な塔&中国庭園は廃墟同然…「鶴見緑地」を歩いて考えたレガシーのあり方

  4. 9

    米国が「サナエノミクス」にNO! 日銀に「利上げするな」と圧力かける高市政権に強力牽制

  5. 10

    世界陸上「前髪あり」今田美桜にファンがうなる 「中森明菜の若かりし頃を彷彿」の相似性