「いなくなった私へ」辻堂ゆめ著

公開日: 更新日:

 主人公は人気絶頂のシンガー・ソングライターの上条梨乃。物語は梨乃が突然、渋谷のごみ捨て場で目を覚ますところから始まる。泥酔して倒れていたのか、全く記憶のないまま慌てて歩き出した梨乃は、誰もが自分を有名人の上条梨乃だとわからないことに気づく。その上、街の電光掲示板には、自分が自殺したというニュースが流れていた。混乱のなか、シンガーの梨乃だと認識してくれた大学生・佐伯優斗や、梨乃と同じように誰ひとり自分に気づいてくれないと訴える少年・立川樹と共に、自分の存在が消えた謎を解こうとするのだが……。

 本書は、第13回「このミステリーがすごい!」大賞優秀賞の受賞作「夢のトビラは泉の中に」を改題し加筆したもの。現役東大生のデビュー作としても注目を浴びた。本人の意識は続いているにもかかわらず周囲の人々からは別人としてしか認知されず、自分は死んだことになっているという奇想天外な謎を解き明かす展開に引き込まれる。(宝島社 1500円+税)


最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    「おまえになんか、値がつかないよ」編成本部長の捨て台詞でFA宣言を決意した

  2. 2

    福山雅治&稲葉浩志の“新ラブソング”がクリスマス定番曲に殴り込み! 名曲「クリスマス・イブ」などに迫るか

  3. 3

    年末年始はウッチャンナンチャンのかつての人気番組が放送…“復活特番”はどんなタイミングで決まるの?

  4. 4

    「えげつないことも平気で…」“悪の帝国”ドジャースの驚愕すべき強さの秘密

  5. 5

    やす子の毒舌芸またもや炎上のナゼ…「だからデビューできない」執拗な“イジり”に猪狩蒼弥のファン激怒

  1. 6

    羽鳥慎一アナが「好きな男性アナランキング2025」首位陥落で3位に…1強時代からピークアウトの業界評

  2. 7

    【原田真二と秋元康】が10歳上の沢田研二に提供した『ノンポリシー』のこと

  3. 8

    査定担当から浴びせられた辛辣な低評価の数々…球団はオレを必要としているのかと疑念を抱くようになった

  4. 9

    渡部建「多目的トイレ不倫」謝罪会見から5年でも続く「許してもらえないキャラ」…脱皮のタイミングは佐々木希が握る

  5. 10

    ドジャース佐々木朗希の心の瑕疵…大谷翔平が警鐘「安全に、安全にいってたら伸びるものも伸びない」