「いなくなった私へ」辻堂ゆめ著

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 主人公は人気絶頂のシンガー・ソングライターの上条梨乃。物語は梨乃が突然、渋谷のごみ捨て場で目を覚ますところから始まる。泥酔して倒れていたのか、全く記憶のないまま慌てて歩き出した梨乃は、誰もが自分を有名人の上条梨乃だとわからないことに気づく。その上、街の電光掲示板には、自分が自殺したというニュースが流れていた。混乱のなか、シンガーの梨乃だと認識してくれた大学生・佐伯優斗や、梨乃と同じように誰ひとり自分に気づいてくれないと訴える少年・立川樹と共に、自分の存在が消えた謎を解こうとするのだが……。

 本書は、第13回「このミステリーがすごい!」大賞優秀賞の受賞作「夢のトビラは泉の中に」を改題し加筆したもの。現役東大生のデビュー作としても注目を浴びた。本人の意識は続いているにもかかわらず周囲の人々からは別人としてしか認知されず、自分は死んだことになっているという奇想天外な謎を解き明かす展開に引き込まれる。(宝島社 1500円+税)


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