「なぜふつう食べられないのか」磯野真穂著
「食べる」と「やせる」という、相反する課題を同時に求められる世の中で、幸せを求め、拒食症や過食症などの摂食障害に陥った女性たちの姿を通し、人が食べて生きることの根源的な意味を問うた論考。中学生でダイエットに目覚め、やがて過食と嘔吐を繰り返すようになり、大学で精神科に通い始めるがそれでもやめることができない女性など、6人のライフヒストリーを紹介しながら、やせることが現代社会においてどのような意味を持つのかを探る。
一方で、医療モデルの検証、さらに過食によって得られる爽快感などにも言及しながら、なぜ彼女たちはふつうに食べられなくなったのかを考える。(春秋社 2500円+税)