「戦略がすべて」瀧本哲史著

公開日: 更新日:

 ビジネス書大賞を受賞した「僕は君たちに武器を配りたい」の著者が、資本主義社会で勝ち残るための24の必勝パターンを伝授している。

 例えば、AKB48はなぜ成功したのか。それは、「人」を売るビジネスにつきものの問題点、すなわち、売れる保証がない、稼働率に限界がある、飽きられるといったリスクを排除するシステムをつくり上げ、持続性を獲得したことにある。ヒットコンテンツには「仕掛け」があるのだ。

 五輪招致、ネットビジネス、東京大学、英語入試、地方創生、選挙戦……。著者は身近な問題を縦横無尽に論じながら、戦略思考とは何かを説く。

 これからの時代、一応のスキルがあっても、真面目で勤勉でも、高収入は望めない。「儲ける仕組み」を手に入れた者が勝つ。あるいは、コンピューターにできない仕事をしなければ淘汰されてしまう。労働市場でバカは勝ち残れない。

 これは他人事ではない。「ほとんどの日本のビジネスマンは高級作業員に過ぎない」と著者は言う。作業員を脱して意思決定者になるには戦略が不可欠。そう考える人にとって、この本はまたとない思考のトレーニングブックになるだろう。(新潮社 780円+税)





【連載】ベストセラー早読み

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    大谷翔平は米国人から嫌われている?メディアに続き選手間投票でもMVP落選の謎解き

  2. 2

    大谷翔平の来春WBC「二刀流封印」に現実味…ドジャース首脳陣が危機感募らすワールドシリーズの深刻疲労

  3. 3

    前田健太は巨人入りが最有力か…古巣広島は早期撤退、「夫人の意向」と「本拠地の相性」がカギ

  4. 4

    新生阿部巨人は早くも道険し…「疑問残る」コーチ人事にOBが痛烈批判

  5. 5

    来春WBCは日本人メジャー選手壊滅危機…ダル出場絶望、大谷&山本は参加不透明で“スカスカ侍J”に現実味

  1. 6

    詞と曲の革命児が出会った岩崎宏美という奇跡の突然変異種

  2. 7

    高市政権にも「政治とカネ」大噴出…林総務相と城内経済財政相が“文春砲”被弾でもう立ち往生

  3. 8

    「もう野球やめたる!」…俺は高卒1年目の森野将彦に“泣かされた”

  4. 9

    連立与党の維新が迫られる“踏み絵”…企業・団体献金「規制強化」公明・国民案に立憲も協力

  5. 10

    新米売れず、ささやかれる年末の米価暴落…コメ卸最大手トップが異例言及の波紋