石原壮一郎
著者のコラム一覧
石原壮一郎

1963年、三重県生まれ。著書「大人養成講座」「大人力検定」などで、日本の大人シーンを牽引している。最新刊「大人の言葉の選び方」も好評!

最初から「向いてる仕事」を探す無駄

公開日: 更新日:

「人生を面白くする『好きになる力』」山田五郎著 海竜社 1300円+税

 この本には2種類の活用法があります。ひとつは、自分の生き方を見直すきっかけを与えてもらう本として。もうひとつは、若い後輩や部下、あるいは自分の子どもに説教するときのネタを仕入れる本として。

 山田五郎を初めて知ったのは、25年ほど前の「タモリ倶楽部」だったでしょうか。1992年に出た初の著書「百万人のお尻学」は、彼の得意分野である美術鑑賞の手法で、お尻を大真面目に愛でるというくだらなくも高尚な名著でした。

 以来、博覧強記っぷりや多趣味っぷりをいかんなく発揮して、タレントやコラムニストとして大活躍。彼ほど人生を楽しんでいるように見える人はいません。そんな人生の達人が、「人生を面白くする」方法を伝授してくれる本を出しました。

 本書で詳しく語られているのは、「好きになる力」の効能とノウハウ。編集者としての実体験を踏まえつつ、特に強調されているのが、仕事を好きになる大切さです。

 出版社に入って配属されたのは、縁も興味もなかったファッション誌。しかも職場環境は、今でいう超ブラック。そこで彼が「好きになる力」をどう鍛えて、どう発揮してきたか。いかにその力に助けられ、今にどう役立っているか。見開きごとに1話、それぞれ見出しが「好きになる川柳」になっているのも、彼の美学や律義な性格を表しています。

〈好きになる そのこと自体が 仕事です〉

〈最初から「向いてる仕事」を 探す無駄〉

〈この年で ビビれることが 幸せだ〉

 たとえば、こんな感じです。若者はもちろん、中堅やベテランにも心に染みて役に立つ言葉がいっぱい。努力して好きになってみることが大切なのは、仕事だけではありません。人間関係、趣味、食べ物、日々の出来事など、すべてにいえることです。「好きになる力」で、不満や不機嫌を吹き飛ばしましょう。

【連載】イカした中年を養成する大人の必読本

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1
    今オフ勃発「FA捕手大シャッフル」…侍Jの巨人・大城、SB甲斐を筆頭に中日、阪神も参戦か

    今オフ勃発「FA捕手大シャッフル」…侍Jの巨人・大城、SB甲斐を筆頭に中日、阪神も参戦か

  2. 2
    渡辺徹さんの死は美談ばかりではなかった…妻・郁恵さんを苦しめた「不倫と牛飲馬食」

    渡辺徹さんの死は美談ばかりではなかった…妻・郁恵さんを苦しめた「不倫と牛飲馬食」

  3. 3
    国内男子ツアーの惨状招いた「元凶」…虫食い日程、録画放送、低レベルなコース

    国内男子ツアーの惨状招いた「元凶」…虫食い日程、録画放送、低レベルなコース

  4. 4
    3Aでもボロボロ…藤浪晋太郎の活路を開くのは阪神復帰か? 日本ハム、オリックス移籍か

    3Aでもボロボロ…藤浪晋太郎の活路を開くのは阪神復帰か? 日本ハム、オリックス移籍か

  5. 5
    3人兄妹の末っ子だから年上と遊ぶ機会が多く、彼らと遊ぶだけの体力もあった

    3人兄妹の末っ子だから年上と遊ぶ機会が多く、彼らと遊ぶだけの体力もあった

  1. 6
    “辞めジャニ”野村義男は59歳で現役バリバリ!引く手あまたの秘訣は「第三の道」を歩んだこと

    “辞めジャニ”野村義男は59歳で現役バリバリ!引く手あまたの秘訣は「第三の道」を歩んだこと

  2. 7
    巨人・秋広が今季初昇格も阿部監督「全く期待していない」…のんきな性格がアダで早くも背水の陣

    巨人・秋広が今季初昇格も阿部監督「全く期待していない」…のんきな性格がアダで早くも背水の陣

  3. 8
    阪神・岡田監督が密かに温めていた「藤浪獲得プラン」が消滅していた…

    阪神・岡田監督が密かに温めていた「藤浪獲得プラン」が消滅していた…

  4. 9
    当時日本ハムGMだった山田正雄氏が「この性格はプロでやる上でプラスになる」と確信した決定的瞬間

    当時日本ハムGMだった山田正雄氏が「この性格はプロでやる上でプラスになる」と確信した決定的瞬間

  5. 10
    人間性やスタンスが如実に表れたMLB挑戦時の「西海岸かつ小規模都市」へのこだわり

    人間性やスタンスが如実に表れたMLB挑戦時の「西海岸かつ小規模都市」へのこだわり