「東京ダンジョン」福田和代著
地下鉄の保線作業員の的場は、仕事中、線路に立ち入った男を見かける。すぐに全線を点検するが、男は見つからない。後輩の永瀬によると、地下鉄の利用客による地底人の目撃情報がネット上に飛び交っているという。そんな中、的場の弟・洋次が、路上で意識不明の状態で見つかる。なぜ洋次が襲われたのか、的場は弟が私淑する経済学者の鬼童に会いに行くが、手がかりはつかめない。意識を取り戻した洋次は、当日の記憶を失っていた。
数日後、病室で的場が職場の愚痴を漏らすと、突然、洋次が開通間近の地下鉄の新線が危ないと言い出す。洋次は新線を狙う一味の話を耳にして、命を狙われたことを思い出したという。
予想外の展開で読者を意外な結末に導く長編ノンストップサスペンス。(PHP研究所 840円+税)