「ヴェネツィアの仮面カーニヴァル」勝又洋子著
ベネチアの仮面カーニバルはサン・マルコ広場を中心に繰り広げられるが、ピアッツァの古代ギリシャ・ローマ風の柱が立つ回廊に囲まれた、祝祭空間となっている。
この空間からは庶民の住居を締め出して世俗的な生活感を遮断し、海上には飾り立てた船が並んで劇的な風景をつくりだす。
カーニバルの期間だけでなく、人々は一年中、仮面を着用することができたのだが、13世紀に悪魔の仮装をして恋人の家に卵を投げつける遊びがはやったため、夜、仮面をかぶって歩くことが禁止された時代もあった。
その起源から歴史、意外なエピソードなども紹介した、べネチアの仮面カーニバルに詳しくなれる一冊。(社会評論社 2000円+税)