「溝猫長屋 祠之怪」輪渡颯介著
忠次たちが住む溝猫長屋には妙な決まりがある。3月10日の時点で、一番年上の男の子が大家と一緒に長屋の奥にある祠に毎朝お参りしなくてはならない。その祠は、昔、ここで亡くなったお多恵ちゃんという女の子の慰霊のために造られたのだが、お参りしなければならない理由はなぜか教えてもらえない。
あるとき、新七と留吉が空き家で変な臭いがして、子どもの声が聞こえると言う。忠次は銀太と一緒に、かつて人が殺されたというその空き家に忍び込み、床板を踏み抜いてしまう。足を上げようとするが、何者かに足首をつかまれているような感じがする……。
長屋をめぐる幽霊話を描く時代小説。(講談社 1400円+税)