「東京エレジー」太田和彦著

公開日: 更新日:

 JR田端駅は山手線の終点だそうだが、南口は利用客も少なく寂しい。昔訪ねた北口の居酒屋「初恋屋」に行ったら経営者が代わっていた。肌寒いので燗酒と刺し身の〈まぐろブツ・青柳〉セットを注文した。ご飯だけの軍艦巻きが1つ付くのがお約束で、それに刺し身をのせて食べる。屋号のように自分にも初恋があったことが不意に表れて心を奪う。初恋の人と暮らす人生もあったかもしれないとも思うが、人生の大半はもう終わり、今は田端の居酒屋でひとり酒を飲んでいる。(「春・田端」)

〈居酒屋エッセーの達人〉が、阿佐谷、日暮里、千駄ケ谷など、ゆかりの街を歩きながら思い出を語る。(集英社 1500円+税)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    さすがチンピラ政党…維新「国保逃れ」脱法スキームが大炎上! 入手した“指南書”に書かれていること

  2. 2

    国民民主党の支持率ダダ下がりが止まらない…ついに野党第4党に転落、共産党にも抜かれそうな気配

  3. 3

    ドジャース「佐々木朗希放出」に現実味…2年連続サイ・ヤング賞左腕スクーバル獲得のトレード要員へ

  4. 4

    来秋ドラ1候補の高校BIG3は「全員直メジャー」の可能性…日本プロ野球経由は“遠回り”の認識広がる

  5. 5

    ギャラから解析する“TOKIOの絆” 国分太一コンプラ違反疑惑に松岡昌宏も城島茂も「共闘」

  1. 6

    国分太一問題で日テレの「城島&松岡に謝罪」に関係者が抱いた“違和感”

  2. 7

    小林薫&玉置浩二による唯一無二のハーモニー

  3. 8

    脆弱株価、利上げ報道で急落…これが高市経済無策への市場の反応だ

  4. 9

    「東京電力HD」はいまこそ仕掛けのタイミング 無配でも成長力が期待できる

  5. 10

    日本人選手で初めてサングラスとリストバンドを着用した、陰のファッションリーダー