「かぼちゃを塩で煮る」牧野伊三夫著

公開日: 更新日:

 今日は一体、どんなおいしいものを食べようか――。本書は、そんな思いで頭がいっぱいになっている「食いしん坊画家」による美食探求エッセーだ。たまの外食でおいしいものを食べようというならいざ知らず、毎日毎食においしさを追求するとなると、なかなか大変だ。

 苦手だったかぼちゃ煮は、塩で煮ることで好物にしてしまう。まずいマグロを買ってしまったら、塩と酒を振って炭火で串焼きにして醤油とワサビで食べる。

 さらにビジネスホテルに泊まれば、電磁湯沸かし器で前菜からメーンディッシュまで作って白ワインを飲むというのだから、その食いしん坊ぶりは筋金入り。

 砂肝の前菜の作り方、料理が苦手でも3分で作れる酒のつまみの作り方など、酒飲みにはうれしい情報も満載。地方のご当地料理や海外のおいしい食事にも好奇心全開で向き合い、家庭での再現をもくろむ姿には脱帽するしかない。ページをめくるごとに、おいしい匂いが立ち上ってきそうだ。(幻冬舎 1300円+税)


最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    巨人がソフトB自由契約・有原航平に「3年20億円規模」の破格条件を準備 満を持しての交渉乗り出しへ

  2. 2

    巨人が李承燁コーチ就任を発表も…OBが「チグハグ」とクビを傾げるFA松本剛獲得の矛盾

  3. 3

    NHK朝ドラ「ばけばけ」が途中から人気上昇のナゾ 暗く重く地味なストーリーなのに…

  4. 4

    日吉マムシダニに轟いた錦織圭への歓声とタメ息…日本テニス協会はこれを新たな出発点にしてほしい

  5. 5

    巨人正捕手は岸田を筆頭に、甲斐と山瀬が争う構図…ほぼ“出番消失”小林誠司&大城卓三の末路

  1. 6

    「おこめ券」でJAはボロ儲け? 国民から「いらない!」とブーイングでも鈴木農相が執着するワケ

  2. 7

    SBI新生銀が「貯金量107兆円」のJAグループマネーにリーチ…農林中金と資本提携し再上場へ

  3. 8

    阿部巨人に大激震! 24歳の次世代正捕手候補がトレード直訴の波紋「若い時間がムダになっちゃう」と吐露

  4. 9

    ドジャース首脳陣がシビアに評価する「大谷翔平の限界」…WBCから投打フル回転だと“ガス欠”確実

  5. 10

    「ばけばけ」苦戦は佐藤浩市の息子で3世俳優・寛一郎のパンチ力不足が一因