「物理学者の墓を訪ねる」山口栄一著

公開日: 更新日:

「天才物理学者に創発が生まれる瞬間、その片鱗がもしかしたら墓に残されているのではないか」と確信し、そのひらめきの秘密を求めて、ニュートン、ボルツマン、ハイゼンベルク、湯川秀樹、朝永振一郎ら13人の物理学者の墓を訪ねた著者。

 ニュートンが眠る墓はロンドンのウェストミンスター寺院の正面左側にある。大理石の石棺の上には、4冊の書籍にもたれて座る、ほぼ等身大のニュートンの彫像があり、その頭上には星座が描かれた天球儀が掲げられ、まさにそこは「自然が表現された一種の科学博物館であり、遊び心満載の遊園地だった」と。そして、「イギリス国教会という全能の神を奉じたカトリックの桎梏(しっこく)から解放された環境こそがニュートンの発見を用意した」と著者は言う。

 物理学の世界に誘うスリリングな科学読み物。(日経BP社 1600円+税)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    日本は強い国か…「障害者年金」を半分に減額とは

  2. 2

    SBI新生銀が「貯金量107兆円」のJAグループマネーにリーチ…農林中金と資本提携し再上場へ

  3. 3

    巨人が李承燁コーチ就任を発表も…OBが「チグハグ」とクビを傾げるFA松本剛獲得の矛盾

  4. 4

    「おこめ券」でJAはボロ儲け? 国民から「いらない!」とブーイングでも鈴木農相が執着するワケ

  5. 5

    NHK朝ドラ「ばけばけ」が途中から人気上昇のナゾ 暗く重く地味なストーリーなのに…

  1. 6

    侍Jで加速する「チーム大谷」…国内組で浮上する“後方支援”要員の投打ベテラン

  2. 7

    石破前首相も参戦で「おこめ券」批判拡大…届くのは春以降、米価下落ならありがたみゼロ

  3. 8

    阿部巨人に大激震! 24歳の次世代正捕手候補がトレード直訴の波紋「若い時間がムダになっちゃう」と吐露

  4. 9

    ドジャース首脳陣がシビアに評価する「大谷翔平の限界」…WBCから投打フル回転だと“ガス欠”確実

  5. 10

    高市政権の物価高対策「自治体が自由に使える=丸投げ」に大ブーイング…ネットでも「おこめ券はいらない!」