「戸越銀座でつかまえて」星野博美著
一人暮らしの自由を満喫していたはずが、自由に縛られ、生き方を見失ってしまった著者は、愛猫の「ゆき」を連れて、18年半ぶりに、戸越銀座にある実家に戻る。本書は、その戸越銀座での日々をつづったエッセー集。
40代で非婚の今、地域の話題にもなりたくないし、危険視もされたくない。波風を立てずに生きていくには挨拶が必須の生活技術だが、地域住民の歴史やわが家との付き合いの程度などを考慮して即座に挨拶をかわすのはなかなか大変だ。そんな地元暮らしであらためて感じた戸惑いから、実家の猫「のり」と「ゆき」の関係、馴染みの八百屋での攻防、そして老いゆく両親との距離の取り方など。「都会と田舎が入り交じった」地元で新しい生き方を模索する日々をつづる。
(朝日新聞出版 780円+税)