「変態」平山瑞穂編

公開日: 更新日:

 異色のアンソロジー「紙礫」シリーズ最新刊。「書いた本人の意図とは関係なく、読むと引いてしまうような作品、それが変態小説だ」ということで、テーマは“変態”だ。収録作品は、中勘助「犬」、内田百閒「東京日記(その八)」、谷崎潤一郎「富美子の足」、稲垣足穂「彼等[THEY]」、川端康成「合掌」、平山瑞穂「果実」、蘭郁二郎「夢鬼」の7編。

 たとえば「犬」。心温まる牧歌的な作品「銀の匙」で知られる著者だが、本作は、苦行僧が“自ら”と“思いを寄せる娘”とに呪法をかけ、共に犬の姿に変えてしまう。そして、その犬のつがいに託して、人間の愛欲のさまを描いた寓話的小説である。大正11年に発表された当時は表現の一部がわいせつであるとされ、相当箇所が伏せ字になっている。(皓星社 2000円+税)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    立花孝志氏はパチプロ時代の正義感どこへ…兵庫県知事選を巡る公選法違反疑惑で“キワモノ”扱い

  2. 2

    タラレバ吉高の髪型人気で…“永野ヘア女子”急増の珍現象

  3. 3

    ロッテ佐々木朗希は母親と一緒に「米国に行かせろ」の一点張り…繰り広げられる泥沼交渉劇

  4. 4

    中山美穂さんの死を悼む声続々…ワインをこよなく愛し培われた“酒人脈” 隣席パーティーに“飛び入り参加”も

  5. 5

    《#兵庫県恥ずかしい》斎藤元彦知事を巡り地方議員らが出しゃばり…本人不在の"暴走"に県民うんざり

  1. 6

    シーズン中“2度目の現役ドラフト”実施に現実味…トライアウトは形骸化し今年限りで廃止案

  2. 7

    兵庫県・斎藤元彦知事を待つ12.25百条委…「パー券押し売り」疑惑と「情報漏洩」問題でいよいよ窮地に

  3. 8

    陰で糸引く「黒幕」に佐々木朗希が壊される…育成段階でのメジャー挑戦が招く破滅的結末

  4. 9

    大量にスタッフ辞め…長渕剛「10万人富士山ライブ」の後始末

  5. 10

    立花孝志氏の立件あるか?兵庫県知事選での斎藤元彦氏応援は「公選法違反の恐れアリ」と総務相答弁