「変態」平山瑞穂編

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 異色のアンソロジー「紙礫」シリーズ最新刊。「書いた本人の意図とは関係なく、読むと引いてしまうような作品、それが変態小説だ」ということで、テーマは“変態”だ。収録作品は、中勘助「犬」、内田百閒「東京日記(その八)」、谷崎潤一郎「富美子の足」、稲垣足穂「彼等[THEY]」、川端康成「合掌」、平山瑞穂「果実」、蘭郁二郎「夢鬼」の7編。

 たとえば「犬」。心温まる牧歌的な作品「銀の匙」で知られる著者だが、本作は、苦行僧が“自ら”と“思いを寄せる娘”とに呪法をかけ、共に犬の姿に変えてしまう。そして、その犬のつがいに託して、人間の愛欲のさまを描いた寓話的小説である。大正11年に発表された当時は表現の一部がわいせつであるとされ、相当箇所が伏せ字になっている。(皓星社 2000円+税)

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