「悪党どものお楽しみ」パーシヴァル・ワイルド著、巴妙子訳
ポーカーのイカサマ師のビルは、ある日、裕福な農場主らと卓を囲む。最後の大勝負に出ようとした寸前、参加していたセールスマンにイカサマがバレてしまう。しかし、セールスマンはなぜかビルを警察に突き出さず、街から出て行けと言うだけだった。実はセールスマンとその相棒もイカサマ師で農場主は彼らのカモだったのだ。
ビルが6年ぶりに故郷に戻ると、実家は何も変わっておらず、幼いころ、父親が息子のしつけに使ったムチもそのまま残っていた。父親との勝負に負け、イカサマから足を洗い農夫として暮らしていたビルは、ある日、知り合った女性の夫を、いかさまポーカーの被害から助けだす。改心したビルが、凄腕のイカサマ師たちのトリックを暴いていく連作集。(筑摩書房 900円+税)