「花天の力士」天野行人著
左大臣藤原道長は政敵の藤原顕光にはめられて、相撲節会でお互いに最強の相撲人を選んで対決することになった。そんなとき、道長の従者が侍所で怪しい大男を見た。大男が張り手をしている大木の幹が手のひらの形にへこんでいたのだ。この大男が顕光の相撲人だと見抜いた道長は、当代一の相撲人探しを陰陽師・安倍晴明に命じる。〈聖なる力士〉がいると伝えられる秋篠の里に向かった晴明は、川のほとりで〈出雲〉と呼ばれる12、13歳の童と出会った。
垂仁天皇の頃、野見宿禰に踏み殺された当麻蹴速の遺恨をめぐって、末裔同士が呪術を駆使して戦う時代ファンタジー。
(朝日新聞出版 1400円+税)