踊って跳ねて現世の染みを振り落とせ

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「死してなお踊れ一遍上人伝」栗原康著

 鎌倉時代の僧侶・一遍上人の生涯を冗舌な文体で描いた画期的評伝。

 一遍の思想を一言で言うと「捨ててこそ」だと著者はいう。現世では、人はどうあがいても仕事の世界にとらわれる。武士の家に生まれた一遍も、家を守ることに追われ、親戚の所領争いに巻き込まれた末に命まで狙われる。そんな息苦しさから逃れようと、家も妻子も捨て出家。全部捨てれば仏のように、縛られることなく自由に生きることができると考えたのだが、現実はそうはいかなかった。人は現世に生きながらにして往生できるはずなのに。行き詰まった一遍は、自分の体に染みついた現世を踊って跳ねて振り落とそうとする。踊り念仏の誕生だ。

 一遍上人の破天荒な生きざまに、有用性や上昇志向に絡めとられた自分の人生をふと振り返る。(河出書房新社 1600円+税)

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